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笠間の常陸国出雲大社ギャラリーで現代美術作家の作品展

ギャラリー入口と作品「12の現れた少女たち No.7」

ギャラリー入口と作品「12の現れた少女たち No.7」

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 常陸国出雲大社境内にある「ギャラリー桜林」(笠間市福原、TEL:0296-71-6700)で現在、「棚田康司展『鎮守の森の入口で』」が開かれている。

作品名「箱から出ていく彼女の像」

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 常陸国出雲大社は、島根県出雲大社から分霊し、幽冥大神(かくりよのおおかみ)とも呼ばれるご祭神大国主大神が鎮座する神社。同神社の大しめ縄は、長さ16メートル、総重量6トンで日本最大級。面積約15万平方メートル(=約5万坪)の敷地内には、自然豊かな森や、樹木の下に埋葬する樹木葬霊園があり、鎮守の森と呼ばれている。

 常陸国出雲大社宮司の髙橋正宣さんは「今、国宝となっているような神社仏閣の絵画、装飾品、工芸品などの美術品は、当時の前衛的な画家や工芸家が残したものもある。アートは宗教的世界観を表し、神社仏閣の身近に存在するもの」と考え、2016(平成28)年2月に現代アートを紹介する「ギャラリー桜林」を同敷地内に開いた。

 「ギャラリー桜林」の石橋研二郎社長は「日本には大きな壁面のあるギャラリーは少なく、大きな作品を展示できないということをまず解消するため、大きな空間を作った。日本人のアーティストを積極的に評価し、サポートして、多くの人に知ってもらえる場所となれば」と話す。

 棚田康司さんは、兵庫県明石市出身、東京造形大学美術学科(彫刻)を卒業し、神奈川県在住の木彫を専門とするアーティスト。「一木造り」という、一本の木から彫り起こしていく日本古来の伝統技法により、木目を生かし、極力彩色を抑え、木そのものが持つ力強い生命感を作品の中に表現しているという。同神社社殿の端材で制作した作品をはじめ、木彫、ドローイングなど計24点を展示販売している。

 石橋さんは「棚田さんの作品は、繊細で不安定に見えるが絶妙なバランスがある。心の動きを表しているかのよう。間近で見られて、気に入ったら購入もできる。値段を知ることで現代アートを所有する楽しみや市場での価値を実感できるのは貴重。最初は、神社に寄った人がついでにギャラリーに寄ることが多いと想像していたが、実際は東京や神奈川といった遠くから直接ギャラリーに来る人が多いのは驚いた」と話す。

 そのほか、秋田から米蔵を移築し改装した「林彩館」では、笠間の現代アーティスト・伊藤遠平さんのアートプロジェクトを進めている。特別公開制作として「モクモクフー」など『鎮守の森』の生き物をキャラクター化し、「八百万(やおよろず)の神」のように神道の世界観を知ってもらおうというもの。3月末までの完成を目指し、完成後に公開展示を予定(土曜・日曜の作家在室時は入室可)。

 開廊時間=10時~16時30分、水曜休廊(12月25日~1月4日は休廊)。1月13日まで。

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