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水戸の中華料理店「柏ノ木」が営業再開へ 台風19号乗り越え再起図る

「柏ノ木」オーナーシェフの柏寛士さん

「柏ノ木」オーナーシェフの柏寛士さん

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 2019年10月の台風の影響で休業していた水戸の中華料理店「柏ノ木」(水戸市飯富町、TEL 029‐297‐5360)が10月28日、営業を再開する。

「柏ノ木」外観

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 同店は、2019年10月12日に発生した台風19号がもたらした記録的豪雨により浸水。以来約1年間休業していたが、10月28日、旧店舗と同じ場所で店舗を改装し、再オープンにこぎ着けた。

 大型で強い台風19号は東日本を中心に甚大な被害の爪痕を残した。水戸市では、那珂川の堤防が決壊し、常磐自動車道・水戸北インターチェンジ付近一帯が浸水した。「柏ノ木」オーナーシェフの柏寛士さんによると、インター出入り口近くにあった同店は、屋根の一部が少し見えるだけの水深約4メートルの水没状態だったという。

 柏さんが、店内に入ることができたのは被災から4日後。天井の梁(はり)には浸水で押し上げられたイスが引っ掛かったまま、全て泥にまみれて変わり果てた店を目にしてぼうぜんと立ち尽くしたという。柏さんがSNSで被害状況を発信したところ、翌日から友人や常連客など、のべ100人のボランティアが集まった。「皆のおかげで、2日間で片付けを終えることができた。気持ちや行動が本当にうれしかった」と振り返る。

 先の見通しが立たない中、「柏ノ木」全従業員の再雇用には、早急な市内近郊の飲食店の協力があったという。「店が再開したら戻る」との従業員たちの言葉や「必ず食べに行くよ。待っているから」という大勢の人たちの励ましを受け「落ち込んでばかりいてもダメだ。少しでも早く再開に向けて動き出さないといけないと奮い立たせた」と柏さん。

 元の場所での再開には「またいずれ被災するのでは」という懸念が拭えず、別の場所を探して調整も図ったという。一方、「ぜひ元の場所で店を再開してほしい。『柏ノ木』が復活のシンボルとなって自分たちの勇気と希望になってほしい」と浸水被害を受けた飯富地区の近隣住民たちからの熱い声に胸を打たれ、旧店舗跡での再起を決断した。

 着工時期に新型コロナウイルス感染拡大による影響と長梅雨が重なり、オープン予定が2カ月以上遅れた。それでも柏さんは「コロナ対策と浸水対策を万全にするための時間」と焦らず前向きに捉えることにしたという。屋根は以前より高くして新しく2階を作った。完全個室を設け、浸水前に1階にある物を移して避難できるようにした。各テーブルはソーシャルディスタンスが保(たも)てるよう大きいサイズにして、脚は外せるデザインにして緊急時に運びやすくした。壁紙は抗菌・抗ウイルスのものを使う。テークアウトは外で受け取ることができるよう窓を設置。コロナの終息が見えない中での「ニューノーマル(新しい生活様式)」に適応する店造りができたという。

 提供されるメニューはベースとなるスープ、ラー油、さんしょう油などすべて手作り。自家菜園で栽培した空心菜、大根、ブロッコリーなどの野菜のほか、コメは従業員一同で育てた物を使う。そのほかの有機無農薬栽培野菜は地元農家から取り寄せ、食材は地産地消にこだわる。本場中国に渡り、学んだ味をオリジナルに工夫して「水戸でも食べられる本格的な中華料理」を手掛ける。直輸入の13種類の中国茶も販売し、笠間焼の器で飲むこともできる。

 柏さんは「若い就農者の野菜を積極的に使い、若い料理人を積極的に雇用するなど、地元の若い力を育てるのも自分の目指すところ。地元の活性化につながる」と考えている。共働きの両親に代わり、ご飯を作って「おいしい」と喜んでもらったことが自分の料理人の原点とし、「今後は、丁寧な仕事をして『本物を食べたい』という多くの人に『おいしかった』とよろこんでもらえるように頑張っていきたい」と前を見据える。

 プレオープン期間の10月28日~11月9日は11時~14時30分のランチタイムのみの営業。グランドオープンの11月12日以降は、18時~22時のディナータイムも営業する。月曜定休。

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