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茨城大のゼミとサークルが共同でウェブラジオ 3.11を声でつなぐ8時間

左から伊藤哲司教授、関口佳恵さん、荒井天雄さん

左から伊藤哲司教授、関口佳恵さん、荒井天雄さん

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 茨城大学人文社会科学部の「社会行動論ゼミ」(担当:伊藤哲司教授)とサークルの「茨大東北ボランティア*fleur*」(以下、フルール)が3月7日、オンライン会議システムのZoomとオンラインライブ配信システムのユーチューブライブを使って「<茨大フルール×社会行動論ゼミ WEBラジオ>3.11から10年 声でつなぐ8時間」と題したオンラインイベントを行った。

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 社会行動論ゼミは「多様性のなかの対話」をキャッチコピーとして、人間が取る行動や社会との相互作用について研究している。社会心理学の知見をベースに、人々の語りやコミュニティーの生成といった面から東日本大震災をはじめとする災害の記憶や復興に関わる実践的な研究(アクションリサーチ)にも取り組んでいる。

 フルールは2011(平成23)年、東日本大震災のボランティアを行うサークルとして発足。学生たちは石塚観光(城里町)が実施しているボランティアバスツアーを使って石巻市を訪れ、清掃活動や植花活動といった復興作業への協力や、語り部などから聞いた話を基に防災ワークショップなどを行ってきた。他地域における地震や水害などの際にキャンパス内で募金活動などを行い、後輩たちへバトンをつなぎながら災害復興支援の活動に取り組んでいる。

 東日本大震災の発災から10年の節目を迎えるに当たり、昨年12月に伊藤教授が大学側に呼び掛け、今年1月からイベントのアイデアを構想。発災当時は小学生だった学生たちが、改めてこの10年間 に思いをはせるとともに、震災の個々の経験をつないで未来を展望する機会とすべく、8 時間のラジオ番組風のオンラインイベントを企画した。

 当日は茨城大学水戸キャンパス図書館1階インフォメーションラウンジに特設するスタジオをキーステーションとして、学生がパーソナリティーとなってライブ配信を行った。配信内容は、フルールの歴代メンバーとのトークやゲストの石塚観光・綿引薫さん、詩人・和合亮一さん、福島テレビ・小野田明さんとのコーナー、参加自由のフリートークゾーンなどで構成した。

 伊藤哲司教授は「本当に大変だった人、自分は被災したのだろうかと葛藤がある人、実は全然関心が無かったという人、といったさまざまな人々に参加してもらいたい。若い学生がやっていることに注目してもらうことで、ダイナミックに変わっていく震災の記憶を、声を重ねることで見出し共有する仕掛けをつくりたいと思った」と話す。

 社会行動論ゼミの関口佳恵さんは「一人一人の語りを大事にして、ひとくくりでまとめようとせず、一人一人の経験・感情・ストーリーをくみ取っていきたいという思いでパーソナリティーを務めた。忘れかけている震災の記憶を思い起こしてもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。

 フルール代表の荒井天雄さんは「自分自身は出身が東京で被災をほぼ経験していない。そういう人たちがたくさんいると思うので、実際に被災された方や被災地へ行ってきた人がどう思ったのかなどを聞き、そういう人たちと一緒に考えることができた」と振り返る。

 アーカイブはユーチューブで閲覧できる。

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