社会福祉法人「梅の里」(茨城町小幡)が11月10日、施設内グラウンドで感謝祭を行った。
1987(昭和62)年に設立した同法人。自閉症者や発達障害者が安心して幸せな日常を過ごせることを目的に施設を運営し、現在は同町で支援事業所6カ所を運営している。
同法人では年に一度、入所者の育てた野菜、手作りパンや雑貨などの販売、模擬店出店などを行う「感謝祭」を開き地域住民との交流を図っている。
昨年までは室内で開催していた同イベント。今年は初めて芝生の広がるグラウンドを会場とし、野菜や花の苗、パン、キャンドル、木工品、陶芸品、スウェーデン刺しゅう雑貨などの作品販売、模擬店での食品の提供、キャンドル作りなどのワークショップ、ステージでの音楽ライブを行った。
ステージでは「常磐大学吹奏楽部」がアニメの曲から演歌まで幅広い選曲で演奏をしたほか、福祉関係の仕事をしながらステージで音楽を披露しているアーティスト「いがっぺボーイズ」と「イイダシンゴ」さんのステージが会場を盛り上げた。
今年からの試みで町内外からキッチンカーなどの特別販売店も用意した。ひたちなか市からは県産小麦のクレープを販売する「lumiere crepe」のキッチンカー、大子町からはキューバサンドを販売する「雑貨屋memeguru」、笠間市からは日本茶を中心としたドリンクを販売する「まちのベンチ」、茨城町でシフォンケーキやプリン、コーヒーなどを販売する「Ami Cafe’」が参加した。
母親と兄と一緒に初めてイベントに来たという同町青葉小学校2年生の會澤紅南羽(くなは)さんは、ものづくりが好きでキャンドルと布を利用したクリスマスツリーのワークショップに参加した。スタッフと一緒に真剣に作品づくりに取り組んでいた。近所から訪れたという70代夫婦は「毎年感謝祭に足を運び、庭に植えるパンジーを買っている。小さくてもしっかり根付いてきれいな花を咲かせてくれるから」と話す。
感謝祭実行委員長の木口茜さんは「『感謝祭』は地域の皆さんとのふれあいの場であり、新しい交流の場でもある。梅の里がどのような施設なのかを知っていただき、入所者と近隣住民とが互いの理解を深めることができたら。今年は外部からキッチンカーなどを呼び出店してもらった。入所者の中には環境の変化が苦手な人や外出することが難しい人もいる。施設内の出店でいつもと変わらない環境で祭りに参加し、新しい経験や交流をはかる機会になったのでは」と話す。