オオハクチョウの群れが現在、茨城町小堤地区と駒場地区の水田に飛来し「落ち穂拾い」を行っている。
毎年この時期に同地で見られるオオハクチョウの群れは、冬の風物詩として地元民に親しまれている。群れは11月中旬から茨城町役場近くの小堤地区の水田に姿を見せ始め、12月上旬からは隣接する駒場地区の水田でも見られた。現在は小堤地区の水田に移動している。
水田では、稲穂を盛んについばむオオハクチョウの姿のほか、時折、羽を大きく広げて羽ばたかせたり、目を閉じてうたた寝をしていたりする姿も見られる。群れの中には、体の色がグレーで、くちばしの色がまだ黄色くなっていない幼鳥もいる。
宿泊施設「いこいの村 涸沼」(鉾田市箕輪)インフォメーションプラザスタッフで、野鳥のガイドや撮影を行っている清水道雄さんは「オオハクチョウは朝には10羽前後の群れがV字編隊で飛ぶ姿を町内の上空で見ることができる。茨城町で過ごすのは日中で、夜は方角的に水戸市の大塚池で過ごしているのではないか」と話す。
駒場地区で4代にわたって稲作を行っている諸川雅一さんによると、ハクチョウが駒場地区の田んぼに飛来するようになったのは15年ほど前からで、例年11月中旬から下旬にかけて姿を見せるようになったという。諸川さんは「稲刈りの後、秋耕(あきこう)をしない田んぼでは二番穂が伸びるため、その穂をついばみに来ている」と話す。「朝、田んぼからハクチョウの大きな鳴き声が聞こえると『冬が来たな』と感じ、姿が見えなくなると『春が近いな』と感じる。季節を告げてくれる存在」とも。
餌を求めて茨城町内各地の水田を移動するオオハクチョウの姿は3月ごろまで見ることができる。