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【リポート】茨城高専「アソビサイエンス」 理科や科学に親しむ【茨城県ひたちなか市】

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 茨城工業高等専門学校(ひたちなか市中根、以下「茨城高専」)の学生が運営する小中学生向けサイエンスイベント「茨城高専アソビサイエンス」が2月17日・18日、3月20日・21日の計4日間、茨城県水戸市とつくば市で開催されました。「アソビサイエンス」は2023年に始まったもので、今年で2年目の取り組み。子どもから大人まで理科や科学に親しんでもらうことを目的としています。

 同イベントは高専生が会場運営から来場者対応まで学生が主体となって行い、日頃の授業や実験・実習、研究活動等を通して学んでいることの成果をCG・VRコンテンツや音楽、映像、ゲームといった体験型コンテンツとして提供しました。

 

茨城高専とはー

 茨城高専は、ひたちなか市に位置する県内唯一の国立高等専門学校。大学と同じ「高等教育機関」としての位置付けで、5年制の一貫専門教育が特徴。中学校卒業後の15歳の若者を受け入れ、大学とほぼ同程度の専門知識・技術を教えるシステムによって、専門技術者を育成することを目的としています。

 学科は国際創造工学科(本科)の中で、機械・制御系、電気・電子系、情報系、化学・生物・環境系があり、本科卒業後には、高度な専門技術を学ぶための専攻科(追加2年制)も設置。より専門的な知識や技術を身につけることができます。

 同校では、地域社会との連携も積極的に行っており、学生たちは2021年に始まった地元企業を訪問し、企業紹介動画の作成や課題解決の提案を図る「MIPPE(みっぺ)プログラム」などの実践的なプロジェクトやインターンシップを通じて地域企業との協力関係を築き、実際の産業界での経験を積む機会を得ています。

 そのほか、産学官連携による地域貢献活動にも力を入れており、理数教育の普及啓発にも積極的に取り組んでいます。高専による小中学生向けの科学イベントなども定期的に開催し、地域に開かれた教育機関として活動しています。

アソビサイエンスの様子

 

-アソビサイエンス(2月17日・18日開催@イオンモール水戸内原)-

 2024年2月18日・19日の2日間、イオンモール水戸内原(水戸市内原)で「アソビサイエンス」を開催しました。会場では音と光、デジタルを融合した多数の体験型コンテンツを用意し、小中学生に理科や科学の楽しさを体験してもらうワークショップなども展開しました。

 「デジタルバーチャルライブ」では、CGと音源制作を本科情報系4年の酒井晴渚さんが1人で担当した作品を発表。「ドローン体験」では、学生が制作したシミュレーションゲームをPCで行った上で、ドローンの実機を操作。学生によるとドローンを研究しているメンバーが、VR操作後に実機でどれぐらい操作性が上がるかを検証することなども考えたといいます。

 「お絵かき水族館」では、参加者が描いた海の生物をPCに取り込み、モニター上で泳がせました。会場では、子どもたちは自分の描いた絵が動く様子を見て喜ぶ姿も見られました。

 ロボット部によるキリン型ロボット「いばらきりん」のパフォーマンスでは、多くの家族連れがホール内に集まり見学。チームで息の合った操作を行いながらロボットの仕組みなどを解説すると、質問コーナーでは子どもから大人までひっきりなしに手が上がり、盛り上がりを見せました。

 ワークショップでは、テーマの「デジタル」「工作」「環境」に合わせて企画されたカードを使った簡単な「プログラミング体験」や「紙コップ相撲ロボット製作体験」を用意。高専生の指導を受けながらプログラミングやモーターの軸を使って紙コップロボットを動かす体験もできました。

 園芸・環境部による「SDGsアクセサリー」のワークショップでは、学生が阿字ヶ浦の海岸で拾い集めた海洋プラスチックを消毒し、はさみで小さくカットするなど事前に準備。アクセサリーを作るだけでなく、環境問題を身近に感じてもらえるように「環境クイズ」も併せて行いました。

 同イベントは両日共ににぎわいを見せ、開館と同時に参加整理券を求める行列ができるなど盛況で、2日間の来場者は延べ2500人以上。教育や科学、デジタルへの関心の高さがうかがえました。

 

-アソビサイエンス(3月20日・21日開催@イーアスつくば)-

 3月20日・21日の2日間は、イーアスつくば(つくば市研究学園)で同イベントを開催しました。

 会場では2月と同様、茨城高専生が卒業研究で製作したドローンの操縦体験ができる「VRドローン操縦ゲーム」や、TELLOというトイドローン(実機)を操縦する「トイドローン操縦体験」の体験ブース、「SDGsアクセサリー作り」「紙コップ相撲ロボット作り」などのワークショップを用意。ロボット部による「いばらきりん」の展示説明も行われました。

 そのほか、デジタルアーツ同好会による「HMDを使ったVRゲーム」では、VRゴーグルをかぶり、コントローラーで出現するアイテムを切ることでポイントを獲得できるゲームが用意され、子どもを中心に老若男女が夢中で操作する様子も見られました。

 会場では、スタートアップ教育環境整備事業の成果発表も行われました。発表では、同校の「MIPPEプログラム」をきっかけに開発に至ったという「モーションキャプチャを用いた児童のための歩行リハビリシステムの提案」(専攻科1年情報工学コース 石原陽平さん)、園芸・環境部が取り組んだ「野菜の栽培」「梅干し・ハーブづくり」ゴミ拾いなどの「環境活動」についての活動報告、地域連携活動の一環で行った小学生向けの「プログラミング教室」と同教室での気づきから製作したという「IslayTouch(アイラタッチ:ビジュアルプログラム環境)の教科書」(本科情報系 石川芳樹さん)、ロボット部によるNHKロボコン杯出場時に製作した「いばらきりん」についての説明がありました。

 家族連れにとどまらず、電気系・化学系企業に務める技術職や開発に関わる社会人、OBOGなども多く足を運び、高専生と笑顔で会話をする様子も見られました。

 保護者や子どもからの質問に高専生やOB・OGが丁寧に答える様子も随所で見られ、理科や科学への理解を深めようとする熱心な様子がうかがえました。保護者向けには、学校説明会ブースも設置されており、子どもから大人まで、多様な層が楽しみながらものづくりの面白さに触れられるよう工夫されていました。

 同所での開催も、両日共ににぎわいを見せ、開館と同時に参加整理券を求める行列ができるなど盛況でした。開催中は多くの家族連れやグループでにぎわい、子どもたちが夢中になって作業に取り組む姿が至る所で見られました。保護者からは「子どもの集中力に驚いた」「子どもが夢中になって楽しんでいた」「最新の技術に触れることができた」などの声が多く聞かれました。

 同校広報室副室長の金澤秀映さんは「学生が主体的にイベントを運営することで、社会性やコミュニケーション力、協働する能力を学んでほしい。挑戦する姿勢や失敗にくじけない心を養うための経験を積んでほしい」と期待を込めます。「3年ほど前から茨城高専を知ってもらう機会としてイベントを重ねてきたが、アソビサイエンスの名で小中学生向けのイベントとして定着してきた。今後も理科や科学の面白さを伝えていきたい」と先を見据えます。

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