「第34回 水戸映画祭」が9月21日~23日、水戸芸術館(水戸市五軒町)で開かれる。
同映画祭のスタッフによると、同映画祭は、水戸出身の深作欣二監督を盛り上げようと水戸市の映画ファンが立ち上げたのが始まりだという。その後、市の予算を活用しながら継承し、現在、NPO法人シネマパンチ、水戸市民のボランティアスタッフ、水戸芸術館などが協力し、継続している。
同映画祭では、近郊の映画館での未上映作品をはじめ多様な作品を厳選。作品によって、監督や俳優などの制作スタッフを招き、トークショーを行うなど、多角的に展開している。
21日は、茨城県出身の箱田優子監督の茨城ロケ作品「ブルーアワーにぶっ飛ばす」と中野量太監督の「長いお別れ」を上映するほか、それぞれの上映後に監督をゲストに迎えトークイベントを行う。「長いお別れ」のトークイベント後はエンディングテーマを担当した優河さんのライブも行う。
22日は、「アマンダと僕」(ミカエル・アース監督)、「ワイルドツアー」(三宅唱監督)、「ブランク」(染谷将太監督)、「旅のおわり世界のはじまり」(黒沢清監督)、23日は「煙突の見える場所」(五所平之助監督)、「この広い空のどこかに」(小林正樹監督)、「愛がなんだ」(今泉力哉監督)を上映。音楽家の渡邊琢磨さんや「ブランク」の映画プロデューサー・金林剛さん、今泉力哉監督も来場する。
「ブルーアワーにぶっ飛ばす」のトークイベントは、ロケが茨城を中心で行われたことや監督が茨城出身であることから企画。全国に先駆けた水戸での先行上映と監督の登壇にこぎ着けた。トークイベントの司会を務める山田タポシさんは「茨城が舞台となり、少し茨城が批判されているようでいて、実は茨城の魅力が描かれている。自分にとっても茨城や家族のこと、嫌な所は見えてしまうが、そういう複雑な思いを裏腹にもっているものなのでは。家族や故郷への愛(いと)しいけど厭(いと)わしい、多くの人が抱く複雑な思いに強く共感できる作品」と話す。「茨城や故郷、家族のことなどを箱田監督と共に語り合えるトークにできたら」とも。
水戸映画祭ディレクターでNPO法人シネマパンチ代表理事の平島悠三さんは「水戸映画祭に限らず、映画は上映され観客のみなさんに鑑賞されて初めて完成する。ゲストによるトークや音楽ライブなど、映画館とはまた違った楽しみもある。ここでしか味わえない映画との出逢いをぜひ楽しんでほしい」と来場を呼び掛ける。