学習塾「典和進学ゼミナール」(水戸市千波町)で10月7日、VR(仮想現実)技術を活用した教育コンテンツ「VR進路相談会」が行われる。
運営会社は、VR・MRなどを使った教育コンテンツを展開する「テンアップ」(東京都文京区)。
同社が独自開発したVR系コミュニケーションプラットホーム「VR School」では、オンラインでリアルタイムにコミュニケーションを展開。大学のキャンパス風景を撮影した360度画像を見ることができるほか、アバター機能を使ったコミュニケーションでお互いが本音で話しやすい環境を創出する。
「テンアップ」社長の金谷建史さんによると、VR進路相談会は、同塾に通う高校生の「地方に在住する高校生にとって、遠方の大学のオープンキャンパスや説明会に行くことは費用や時間の点で大きな負担」という声をきっかけに企画したという。
金谷さんは「インターネットやスマートフォンが普及した現在も、地方・地域によって教育格差や情報格差が生じていて深刻な社会問題となっている。地方の学生にとって、進路を希望する大学に通う現役大学生から生の声を聞いたり直接交流したりする機会は極めて少なく、偏差値ランキングや合格判定に従って進路を決めざるを得ない状況が続いている。その結果、不本意入学者が増加し、大学入学後には学習意欲を失い、中退や無為な大学生活を送ってしまうこともある就職や職業選択にも大きな課題を残す原因にもなっている」と話す。
当日は、「IQ Lab」(東京都文京区)から、東京大学、一橋大学、慶應義塾大学、早稲田大学の学生4人が、水戸市にある典和進学ゼミナールの高校生に「VR school」をプラットホームに、オンライン・オープンキャンパスとして「VR進路相談会」を行う。各現役大学生の生活を中心に校舎や教室、友達と集まる食堂やサークルの場所などを紹介する予定。
金谷さんは「現在、大学選択の方法が偏差値以外にも出てきたとはいえ、高校生に与えられている情報は大学や大人から一方通行で伝えられている情報ばかり。『本当にやりたい学びがその大学でできるのか』といった環境や設備の有無や実際の生活がどのようになるかなど、現在大学生が実際に感じていることを中心に生の声を届けられたら」と話す。
今後は、具体的な学部の比較ができる進路相談や社会人に相談できる進路相談、海外の大学や留学の進路相談などの企画も行う予定という。地方・地域の学習塾からの「VR school」を活用したイベントやコンテンツ提供依頼にも対応する。
「テクノロジーを使うことで、地域の格差や情報格差をなくすことで、これからの子どもたちに人生の選択肢に有益な情報を提供できるようにしたい。このイベントを通し、多くの可能性を感じてもらいたい」と期待を寄せる。「地方・地域の子どもたちの『夢』の実現に少しでも貢献できれば」とも。
開催時間は18時~。対象は、水戸市近郊在住の高校生。申し込みはウェブサイトで受け付ける。