「LGBTQ(性的マイノリティー)とスポーツ」をテーマにしたシンポジウム「レインボートーク&ゲーム」が2月15日、「アダストリアみとアリーナ」で開かれた。主催はレインボートーク&ゲーム実行委員会。
「茨城ロボッツ」ホームゲーム前に開かれたもので、100人が参加。「茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント」広報担当者は「ダイバーシティの重要性をより広く市民・県民の皆さまに知ってもらうきっかけをつくり、LGBTQに限らず誰もが安心して暮らすことのできる街、茨城県について皆さまと一緒に考えていきたいと開催を決めた」と言う。
パネリストには、大井川和彦茨城県知事、オープンリー・レズビアンの滑川友理水戸市議会議員、女子サッカー選手では日本で初めてカミングアウトした下山田志帆選手、「茨城ロボッツ」「茨城放送」取締役でオーナーの堀義人さんが登壇。モデレーターは、「グッド・エイジング・エールズ」の柳沢正和さんが務めた。
LGBTQは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)と、Queer(クィア、性的少数者の総称)またはQuestioning(クエスチョニング、性的指向や性自認を定めていない人)の頭文字を取り性的少数者の総称として使われる言葉。茨城県は、東京オリンピック・パラリンピックを間近に控え、ダイバーシティ&インクルージョンがますます注目される中、都道府県としては日本初となるパートナーシップ宣誓制度を導入している。
当日は、「スポーツとダイバーシティ~誰もが暮らしやすい街、茨城・水戸を考える~」をテーマにパネルディスカッションと質疑応答を展開。大井川知事からは、なぜ茨城が全国に先駆けて「パートナーシップ制度」を導入したかが語られたほか、下山田選手が、自身の経験談や親へのカミングアウトへの葛藤などを赤裸々に語ると、来場者が何度もうなずく様子も見られた。
堀さんは「参加することが最初のステップ。環境を変えていくのは、参加して、発言して、批判が来ても行動してリーダーシップを発揮していくこと。人それぞれ自分の覚悟は違うので自分の居心地が良いところは違う。数多くの人の発言、行動で変わっていける」と話し、大井川知事は「制度を作りっ放しではいけないので、茨城でこのような機会をもっと増やしていきたい。関心を持っていただく、伝えていただくことでもっと素晴らしい社会になれば」と話した。
実行委員で元アスリートの杉山文野さんは「心理的安全性が担保されている環境においてはチームとしても個人としてもパフォーマンスを発揮できる。誰もが安心してプレーできる、応援できる、暮らしていける茨城として、これから輪が広がっていけたら。隣の方につないでいってもらえたら」と呼び掛けた。
「茨城ロボッツ」社長の山谷拓志さんは「全く偏見なんてないと思っていたが、知識がないことで傷付けていたのではと感じた。こういった知識を得ることが大切。こういった考え方を進めて、広めていきたい。プロスポーツチームとして、性的嗜好(しこう)や価値観を認め合うような、開かれたチームを目指したい」と意欲を見せた。