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水戸在住男性がエクアドル支援プロジェクト 食糧や医療物資支援

エクアドルでの支援の様子(写真提供=ハチドリのひとしずくプロジェクト)

エクアドルでの支援の様子(写真提供=ハチドリのひとしずくプロジェクト)

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 水戸市在住で社会人チーム「水戸ホーリーホックC&L」強化部スタッフの中川賀之さんがエクアドル緊急支援「ハチドリのひとしずくプロジェクト」を立ち上げ、現在、エクアドルへの食糧支援や医療物資支援を行っている。

エクアドルでの支援の様子(写真提供=ハチドリのひとしずくプロジェクト)

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 中川賀之さんは東京都出身。高校卒業後、ポルトガル、スペイン、ペルーと渡り歩き、エクアドルの「AC グリーン・クロス」に加入。エクアドル初の日本人プロサッカー選手として「CD キニンデ」「バルセロナ SC」「CD エスポリ」「マンタFC」で活躍。2006(平成18)年に帰国し、「FIFAワールドカップ2002 エクアドル?取キャンプ委員」「FIFAクラブワールドカップ2008 南米代表チームリエゾン」「日本サッカー協会 こころのプロジェクト 夢先生」などを努めた。2019(平成31)年から、社会人サッカーチーム「水戸ホーリーホックC&L」のコーチや強化部スタッフ、ホームタウンの小中学校での講演活動に取り組む。

 中川さんは「エクアドルはプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせていただいた国であると同時に家族同然に温かく迎え入れてくれた国。多くの友人、知人がいて、私の人間形成に多くの影響を与えてくれた」と振り返る。「在エクアドル日本大使館」によると、6月2日時点で国内感染者数4万414人、死亡者数3438人、このほかに新型コロナウイルスによる可能性のある死者数2201人となっている。

 世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るう状況を受け、エクアドルのために貢献できることを模索していたという中川さん。「日本をはじめ、世界中がコロナウィルスの脅威に怯え、日本中で支援を必要とする方が多くいる中で、自国よりも外国を支援することに自問自答した時期もあった」と葛藤を吐露する。「エクアドルでは政府や政府関連機関の支援が行き届かない地域や地区も多い。誰の助けも受けることができず、食べるものもなく困窮している多くの方がいる。そのような地域や地区に元チームメートが支援していること、エクアドルを愛する日本人の仲間がいることを知ったことが支援への後押しとなった」と話す。4月中旬、中川さんを中心に、エクアドル在住日本人を含む小林憲明さん、宮浦歩美さん、奥野玉紀さん、高橋力さん、高橋直さんの5人でエクアドル緊急支援「ハチドリのひとしずくプロジェクト」を立ち上げた。

 プロジェクト名はエクアドルの先住民に伝わる民話「ハチドリのひとしずく」から取ったもの。プロジェクトのウェブサイトでは、同民話に触れ、「山火事を消そうと、一滴ずつ水を運ぶ小さなハチドリに対して、森から逃げた動物たちは『そんなことをしていったい何になるんだ』と笑います。ハチドリは動物たちに答えます。『私は私にできることをしているだけ』と。私たちは、このハチドリのお話が大好きです。私たちにできることはたったのひとしずくに過ぎないかもしれません。だけどそのひとしずくがやがて大きくなり、困難な山火事を消しうる力になるのだと信じております」(原文ママ)とコメントを寄せる。

 現在、エクアドルと日本の両国にゆかりのある団体や組織に賛同団体としての参画を呼び掛け。フェイスブックやホームページを活用し、支援金を募った。支援金を元に、現地在住のメンバーが食糧や医療物資、日用品の支援なども行い、これまでに食糧キット1002セット、コメ約500kg、医療防護具キット547セット、医薬品200箱、生活用品キット33セットの支援を行った。

 中川さんは「現地のエクアドルの方の力添えで、スペイン語版のフェイスブックの立ち上げのほか、現地紙にも取り上げていただいている。広報活動を通じ、『日本からもエクアドルのことを応援しているよ』というメッセージを一人でも多くの方に届け少しでも希望を感じていただけたら」と話す。

 「私たちは極小のグループで、日本からの多くの支援者の善意によって活動させていただいていることを胸に、エクアドルへの橋渡し役を務めさせていただいていることを忘れてはいけない」と中川さん。

 「ほんのひとしずくではあるが、食卓が少しでも豊かになり、家族での食事に笑顔が生まれ、遠く離れた日本からお送りさせていただいている物資によって小さくても希望を持てるようにと願っている。この活動を通じて、自己のために生きるのではなく、何かに貢献することの大切さを自分自身が学ばせていただいているという感覚もある。2018年に国交100周年を迎えた日本・エクアドルの両国の友情が、今後更に発展し、貢献できるよう努めていけたら」とも。

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