水戸のコミュニティー放送「FMぱるるん」（水戸市酒門町）が10月1日から、インターネット上のコミュニティー局サイト「サイマルラジオ」で動画配信を始めた。スタジオの様子を生放送し、リスナーもパーソナリティーの姿がじかに見られると好評だ。

　サイマルラジオはエリア内でビルや山影などの影響で電波を受信できない場所に地域情報を届けるため、全国にあるコミュニティーラジオの有志がサイトを運営。昨年の本格運用開始以来、ネット上でラジオが聴けるサイトとしてふるさとを離れた世界各地のリスナーから人気を集める。

　これまで放送のストリーミング配信が中心だったが、インターネットの特性を利用。FMぱるるんは湘南ビーチFMに次いで全国2番目に動画の配信を開始した。現在は生放送のスタジオの様子を中継し、ロケを行ったカラオケ番組の動画も配信している。視聴環境はメディアプレーヤーなどに限られるが、今後はモバイルでも見られるように準備中。

　最初はしゃべり手も「いつも誰かに見られている」「曲を流している間、休憩もできない」と緊張したという。また、うっかりあくびをした姿を見られ、リスナーから注意のメールが来たというハプニングも。しかし、「これまでどんな人がしゃべっているのか分からなかったが、身近に感じるようになった」という反応もあり、徐々に人気が高まりつつある。

　「ラジオが見える」から「見るラジオ」へと新たな可能性を模索している放送局長の海老澤逑夫（えびさわのぶお）さんは「ラジオの創造性という部分は大切にする一方、よりテレビ的にローカルなイベントやスポーツ中継などの番組も取り組むようになる」と話す。