量子技術を使って農業の発展を目指す一般社団法人「量子農業協会」が昨年12月、水戸市で設立された。
新たな農業のビジネスモデル創出に向けた研究開発や産業創出に向けた取り組みを進めようと創設した同法人。大強度陽子加速器施設(J-PARC)で生成した量子ビーム(量子線)を活用し、農産物の育種研究開発、農業活性化や新たな産業創出を図る。茨城県産業戦略部技術振興局、茨城大学、J-PARCセンター、水戸市、茨城県経営者協会、水戸商工会議所などが協力する。
昨年12月18日、水戸市内のホテルで設立総会が行われ、量子技術で育種研究などを手掛ける「クォンタムフラワーズ&フーズ(以下、QFF)」の菊池伯夫さんが理事長に就任した。菊池理事長は「事業開発によって生まれるイノベーションを社会実装していくサポートしていきたい」と話す。
総会では、J-PARCの齊藤直人センター長が基調講演「量子技術が変える未来の暮らし」を行い、物質の起源と進化の歴史やJ-PARCでの研究などを紹介した。
QFF役員の磯崎寛也さんによると、今後はシンポジウムや研究会の開催をはじめ、調査研究や関係機関への政策提言などに取り組んでいくという。
磯崎さんは「原子力関連施設と農業基盤という茨城県特有の地域優位資源を活用し、育種・農業等の事業を連携させ、新たな産業クラスターを構築し、持続可能な世界の実現と明るい未来に寄与したい」と話す。?
同法人では3月、オンライン対談企画を行う予定という。