水戸の宇宙ベンチャー「スペース・バルーン」が2月10日、同社事業の「HATBA(High Altitude Transport BAlloon=ハトバ)、成層圏・高高度輸送気球システム」の未来構想として、自然と一体となった新コンセプトの宇宙港「スペースポートIBARAKI」のコンセプトイメージを発表した。
大洗港沿岸に位置するスペースポートIBARAKI宇宙港(夜明け時の様子)
同社は2月10日に開催された茨城県、いばらき宇宙ビジネス創造コンソーシアム主催の「IBARAKI Next Space Pitch」コンテストで、宇宙港「スペースポートIBARAKI」と未開拓の宇宙の入り口である「成層圏」領域を活用した、地球から成層圏へ「運ぶ」という新規事業「HATBA事業」のプレゼンテーションを行い、準グランプリを獲得。
2月12日には、同宇宙港の舞台として想定する大洗町役場を訪問。事業構想を説明し、國井豊町長に「スペースポートIBARAKI」のイメージ・パネルの贈呈を行った。
同社は昨年3月に設立。昨年9月には関東沖での高高度気球による飛行実験を成功させ、同種の飛行実験に繰り返し成功。「関東沖での高高度気球実験において確実に高い知見と実績を持つ企業となった」同社担当者。
今年からは、輸送システムの大型化、搭載機材の重量化対応、リモートセンシングなどの事業に発展させる方針という。
成層圏・高高度輸送システム「HATBA(High Altitude Transport BAlloon)システム」を開発し、成層圏と地球との間を行き来するコントロール可能なガス気球を使って、安全に確実な輸送事業を確立するほか、衛星やドローンシステムとの連携なども視野に入れ、高高度だからこそできる情報収集事業の確立なども目指す。
同社が「究極の夢」として掲げる、茨城県での「スペースポートIBARAKI」の宇宙港構想。従来の宇宙港から想像されるロケット輸送を中心としたものではなく、自然と調和し、自然の力を借りて飛行する成層圏大型気球輸送システムの基地として、今までの概念を覆す新しい宇宙港のコンセプトイメージに仕上げた。
コンセプトイメージの制作は、ドバイ万博の日本館の設計を手掛けた建築家の永山祐子さんが手掛けた。自然との共存、世界中の人々が身近に宇宙を感じることのできる場所の実現をかなえるという宇宙港のイメージに仕上げた。
同社担当者は「事業の発展と共に、この構想をコンセプトに終わらすことなく、地元茨城県の皆さまの協力を得て実現を目指す。茨城県における宇宙開発・実験、事業の機会を大きく広げ、多くの企業進出や専門技術者育成の機会を創出するのに役立ちたい」と話す。