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水戸のギャラリーで画家・日野之彦さん個展 「反射」テーマに

作品を前にほほ笑む日野之彦さん

作品を前にほほ笑む日野之彦さん

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 画家・日野之彦さんの個展「反射(Reflection)」が現在、ギャラリー「ARTS ISOZAKI」(水戸市三の丸)で開催している。

日野さんの作品「透明の膜」

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 石川県輪島市に生まれ、筑波大学で美術を学んだという日野さん。インド・シャンティニケトン滞在を経て、現在は多摩美術大学で准教授を務めている。日野さんは人物画をメインに、油彩やブロンズ像、透明水彩などさまざまな技法を使いながら「自己」を表現する。

 同展のテーマは「反射(Reflection)」。日野さんはテーマについて、「作品を直感で選んだ時に、キラキラと光るようなイメージの作品が多いこと。自分をモチーフに、自己の抱えるいびつさを作品越しに表現していること。この2つの特徴から『反射』という言葉が浮かんだ」と話す。

 今回は「ARTS ISOZAKI」店主の磯崎寛也さんとのつながりから、水戸市で個展を開催するに至った。展示されている作品の半分以上が今年のものだが、そのほとんどは「ARTS ISOZAKI」での個展が決まってから手がけたもの。日野さんはそれまで取り組んでいた「モデル」を描く仕事を休止し『ARTS ISOZAKI』に展示するための作品づくりを始めたという。「モデルさんではなく、自分自身をモデルにして作品を描きたいと思っていたので、今回の個展はちょうど良い機会になった」と話す。

 「ARTS ISOZAKI」は水戸駅近くの大通りに面しており、シャッターにぽっかりと穴の空いた外観が特徴的だ。この「穴」は茨城県水戸市出身のアーティストである雨宮庸介さんの作品でもあり、ギャラリーのエントランスでもある。日野さんはこの「穴」から着想を得て、穴にちなんだ作品を描こうと思ったという。鉛筆で精緻に描写された「深い穴」という作品は、入り口の一番近くに配置されている。「現実的な水戸の街から『穴』をくぐると別世界に迷い込む。そんな雰囲気を味わえるのが『ARTS ISOZAKI』ならではの良さだと思った。作品もそれに合わせて、認知がゆがむような、現実的ではない何かを感じ取れるようなものを選んだつもりだ」と日野さん。

 「反射(Reflection)」では、油彩や鉛筆、水彩やブロンズなどバリエーション豊かに表現された作品計11点を展示・販売している。日野さんは「現代美術に関心のある人はもちろん、普段あまり関心のない人でもふらっと目的なく立ち寄って、穴をくぐって、気軽にこのいびつな世界を体験してほしい」と呼びかける。

 開催時間は水曜~日曜・祝日=13時~18時。入場無料。写真撮影自由。6月19日まで。

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