ひたちなか市の白亜紀層海岸で海の生き物に触れる体験企画「磯遊びのはじめ 2023」が7月22日・23日の2日間にわたって行われた。
ひたちなか海浜鉄道(ひたちなか市釈迦町)が主催した同イベント。吉田千秋社長は「地元の人や子どもたちが海や鉄道を通してまちを好きになるきっかけを作り、それをまちの元気につなげたい」と話す。同企画はKAWASAKI KIDS基金(ひたちなか市)とひたちなか市の後援を受け、「始初(しはつ)プロジェクト」のメンバーが企画運営した。始初プロジェクトは、2021年に行われた地域課題解決プロジェクト「if design project」をきっかけに発足し、代表の吉野健太さんを中心に同線沿線での体験企画など地域活性化に取り組んでいる。今年で2年目を迎える同企画について、吉野さんは「『始初』では『あなたに初めてと始まりを提供する』をコンセプトにしている。海や鉄道での体験を通して、ひたちなかの良いところを再発見してもらえれば」と話す。
参加者は、勝田駅から同線で美乃浜学園駅まで移動。白亜紀層海岸まで徒歩で向かい、海が見えてくると子どもたちからは期待の声が上がった。海の生き物の専門家「ひとでちゃん」として活動する小松真弓さんがゲスト講師を務め、磯遊びの指導や参加者が採集した生き物の解説を行った。小松さんは「ひたちなかの白亜紀層では、ここでしかできない磯遊びができる。海の生き物の多様さを知ってもらえる機会になるはず」と期待を込める。
新しい試みとして、ひたちなか市職員5人が有志で参加。イベントのサポートや、列車での移動中に車内でクイズ企画を行い、参加者を楽しませた。参加した女性生活課の望月奈々さんは「豊かな海に触れ、地元の魅力を改めて知って感動した」と振り返り、募集をかけた企画調整課の鈴木秀明さんは「市の職員が地域の活動に関わる意味を感じ、その機会が増えればうれしい」と話す。
親子で参加した同市在住の山口退二さんは「初めての磯遊びを子どもがとても喜んでくれた。生き物の解説を夢中で聞いていたのも印象深くていい機会だった」と振り返り、娘の莉穂さんは「きれいな貝を拾おうとしたらヤドカリだったり、ヒトデをたくさん見つけたりしてうれしかった。楽しかったからもっと遊びたい」と話していた。普段からアウトドアになじみがあるという同市在住の濱崎恵子さんも家族で参加。「乗ったことがない湊線や『ひとでちゃん』の話に興味があって参加し、家族で楽しみながら知識も増えて良かった。クイズも家族で盛り上がることができ、イベント感があって子どもたちもワクワクしていた」と感想を語った。
9月には「海の生き物発表会」を開催予定。夏の間に生き物を調べた子どもたちに向けて、研究発表会を那珂湊駅駅舎で開催予定。優秀な発表には地元の人々からの記念品進呈も予定するという。