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ひたちなか在住エンジニア、ホログラムとアバター組み合わせたサービスで起業

(左から)茨城県産業技術イノベーションセンターの久野亘央さん、(中央)起業した「XR大忠システム」の土井敬司さん、同センター副センター長の磯智昭さん

(左から)茨城県産業技術イノベーションセンターの久野亘央さん、(中央)起業した「XR大忠システム」の土井敬司さん、同センター副センター長の磯智昭さん

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 ひたちなか市在住のエンジニア・土井敬司さんが2024年1月1日、独自開発したホログラムとアバターを組み合わせた「アバターグラム」サービスで起業する。

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 大阪府泉佐野市出身の土井さんは、東京大学大学院卒業後、日立研究所、ホロラボなどで研究者やエンジニアとして勤務。主に群ロボットの人工知能研究や、ビックデータ、AR・MRアプリケーション、システムの企画・設計・開発などに取り組んできたという。

 屋号は「XR大忠システム」。XRとは、「Extended Reality・Cross Reality(エクステンデッド・リアリティーまたはクロス・リアリティー)」の略称。現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった画像処理技術などが含まれる。「大忠」は大阪で祖父がかつて営んでいた工場の名を引き継いだ。

 起業には、茨城県産業技術イノベーションセンターの支援制度を活用した。同センターイノベーション戦略部主任研究員の久野亘央さんらに方向性や起業の手順などを相談し、個人事業主としての開業にこぎ着けた。

 数年前から、ホログラムとアバターを組み合わせた3D技術「アバターグラム」の開発に取り組んできたという土井さん。土井さんによると、3Dアバターの再現には一般的に約100台のカメラがあるスタジオで撮影する必要があるが、土井さんが開発した同技術では、スマートフォンで動画を撮影し、動画処理を行うと3Dにすることができるという。利用の際は全身が映るよう動画を撮影し、被写体の身長と撮影時の端末と被写体の立った位置までの距離の送信が必要。動画処理が完成するとURLやQR、動画が納品される。土井さんは「これまで数百万円かかっていたものが、数万円で提供できるのが強み。店舗や観光のサービスにも展開できるのでは」と話す。

 開発のきっかけは、自身が参加する地域での観光ボランティアの活動だった。「観光客の多い時期や、多言語対応が必要な場合にも活用できるサービスがあればもっと地域の資源を生かすことができるのでは」と思いついたという。同時に、会社員として名刺交換する際にも展開できると確信。「名刺に印字したQRコードを読み込んでもらえれば3Dアバターの『自分』が動画で話す。印象にも残りやすくサービスの紹介にも使うことができる」という。試行錯誤を続け、今年10月にプレリリース。既に20人近くが体験しているという。価格は3万円。そのほか、ソフトウエア開発の請負や拡張現実を活用したCM制作なども受託する。

 土井さんは「GAFAはパソコンもスマホもいらない世界を目指している。XR技術は日本でも大企業では使っている技術だが、まだまだ浸透していない地方の中小企業向けの新たな発想の提案ができないかと起業した。グローカルに展開できる技術を追求したい」と意気込む。

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