
朝食専門店「台所」が4月15日、大洗町磯浜町にオープンして1カ月がたつ。
メニューはご飯と日替わりのみそ汁のみで、みそは優しい甘みが特徴という
メニューはご飯と日替わりのみそ汁の朝食セット(500円)のみ。大洗町の髭釜商店街にあるブックカフェ「焚火と本」(大洗町磯浜町)の軒先で、日曜から火曜まで営業する。店主の下司悠太さんは「食材はすべて茨城県産。みそ汁はその日手に入った物によって具材が変わる。大洗に土曜・日曜泊まった人や、これから仕事や観光に出掛ける人に立ち寄ってもらえたら」と話す。
神奈川県出身で芸術家としての顔も持つ下司さんは1994(平成6)年生まれ。「生活という行為にどれだけ表現力を持たすことができるかに熱を持って取り組んでいる」と話す。みそや米こうじ、しょうゆ、服、家具など生活に必要な物を自作し、自分の生活を本や展示物で発表する。「幼少期から社会の良くない構造に疑問を持つことがあった。いざ自分が大人になった時に、社会に対して何か行動ができるわけでもなかったので、まずは『自分の生活を自分でつくる』ことから始めた」と下司さん。社会人になってから米とみそ汁だけの食生活を始め、それらを含む生活の過程を、著書「反抗的味噌汁」にまとめた。
下司さんが茨城県に移住したのは2023年秋。神奈川県の外で暮らしてみたいという気持ちと、パートナーが県内で就職することがきっかけという。移住後アルバイトをしながら制作活動を続けていた昨年、ブックカフェ「焚火(たきび)と本」を経営する佐藤穂奈美さんに出会い、佐藤さんの仕事を手伝うようになったという。下司さんは「佐藤さんから何かイベントを企画しないかと誘われて、『米とみそ汁だけの朝ごはん屋』を提案した」と振り返る。
「『普段』を盛り上げたり、彩ったりする手段や物を提供するのではなく、地域の人の暮らしの中にある『普段』そのものを探求するようなお店にしたい」と同店のコンセプトを話す下司さん。「台所は、人が家の中で毎日目にするもの。『髭釜商店街の台所』のようになれたら」とも。
下司さんは「オープンしてから、地元の人を中心に来てくれている。『最近、こういうものを外で食べられないんだよな』と言ってもらえることもあった」と笑顔を見せる。
営業日時は日曜~火曜=7時~10時30分。