暮らす・働く 学ぶ・知る

水戸で経営労働問題全国交流会 全国から経営者ら290人集結、事例に学ぶ

「経営労働問題全国交流会」で問題提起をする中小企業家同友会全国協議会労働委員長の山田茂さん

「経営労働問題全国交流会」で問題提起をする中小企業家同友会全国協議会労働委員長の山田茂さん

  • 2

  •  

 中小企業家同友会全国協議会主催の「第9回経営労働問題全国交流会」が8月28日・29日、水戸プラザホテル(千波町)で開催された。

事例報告をする取手市の「歌舞伎あられ池田屋」の池田裕児社長

[広告]

 「変革を成せ~激変の外部環境を受け止め、経営指針の実践で作る強靱(きょうじん)な企業」をテーマに全国から290人の経営者らが参加した。茨城県で同会の大規模な交流会が開かれたのは2017(平成29)年の青年経営者全国交流会以来8年ぶり。

 中小企業家同友会全国協議会は、1969(昭和44)年に結成した全国各地の中小企業家同友会をつなぐ全国組織。「よい会社・よい経営者・よい経営環境をつくる」ことを目的とし、学びや交流、経営指針づくりの推進、政策提言などに取り組んでいる。同会では中小企業における労使関係の見解=「労使見解」の発表から50年と節目の年を迎えた。

 全国交流会は、現在の社会情勢に合わせて労使見解の意義を学び合うことを目的として開催。初日は、茨城県中小企業家同友会の永岡誠司代表、中小企業家同友会全国協議会の広浜泰久会長があいさつした後、同会労働委員長の山田茂さんが「人を生かす経営で未来を拓(ひら)く 今こそ原点回帰を」をテーマに問題提起した。労使見解を基にした企業変革で、自社の未来を切り開く契機にするよう呼びかけた。

 事例報告では2社の取り組みを紹介。取手市の「歌舞伎あられ池田屋」の池田裕児社長が「変革への第一歩 伝統を見つめ直し、未来を切り拓く実践」と題して発表した。30代で多額の負債を抱えて事業承継した後、同会で学び経営指針を策定。「伝統を大切にしたおいしいあられを作る」という理念を社員全員で共有し、新たに地元に旗艦店をオープンするなど、家族経営から企業へと変革を遂げていった道のりを紹介した。

 岡山県倉敷市の板金加工メーカー「田中製作所」の門田悦子社長は「変革を力に 経営者の覚悟と労使見解」と題し発表。看護師から家業を継いで経営者へ転身。同友会で労使見解に出合い経営者として覚悟を決めたことや、53年の歴史の中で変革を重ねて生き残ってきた同社の歩みを報告した。

 各事例報告後は参加者がグループに分かれて討論を実施。事例を自社の経営と照らし合わせながら気づきや学び、改善点を整理した後、報告者に向けてフィードバックを行った。発表の時間には各グループから次々と手が挙がり、参加者は具体的な実践例から得た学びを積極的に共有するなど熱心に取り組む様子が見られた。

 29日には駒沢大学名誉教授の吉田敬一さんが「『労使見解』発表から50年、人間尊重経営の本質とは その変遷と現代的解釈」と題して基調講演を行い、同交流会は2日間の日程を終了した。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース