日本全国の建設現場で大量に発生し、焼却や埋立に頼られていた廃石膏ボードと塗料カス。これまで再利用が困難とされてきた“混合廃材”を、InnovateX株式会社は独自技術で建材化することに成功しました。現在、自治体・建設業界・廃棄物処理業界など、さまざまな分野からの注目が集まっています。

廃石膏ボードゴミ

廃石膏ボードからの完成品

廃塗料カス

廃塗料カスからの完成品
建築・解体現場から発生する「廃石膏ボード」や「塗料カス(廃ペンキ)」は、リサイクルが極めて難しく、長年「最終処分」以外の道がありませんでした。石膏に含まれる硫黄分や塗料中の有機溶剤成分が焼却炉を傷めることから、特に環境負荷・処理費用の面で大きな課題となっていました。

配置イメージ

配置イメージ
InnovateX株式会社は、あらゆる廃プラスチックや複合素材を再資源化する技術「エコボーン(R)」を基盤に、廃石膏ボードと塗料カスを混合原料として30%程度含有可能な建材化技術を開発しました。
この新素材は、次のような用途を想定しています:
・公園・観光地のベンチ・テーブル
・公共施設のルーバー・床材
・歩道や河川敷の路盤材・U字溝の蓋
今まで焼却するしかなかった廃材が、地域の景観や市民の生活に役立つインフラ資材に生まれ変わります。
LCA(ライフサイクルアセスメント)によると、従来の廃プラベンチと比較しても、本技術を用いた再生建材は最大80%のCO2削減効果を持ちます。また、「廃棄を回避するだけでなく、インフラとして再利用できる」という点が高く評価されています。

エコボーンと他素材とのCO2排出量の違い

さまざまな廃ゴミからガーデニングテーブルが生まれます

廃棄が困難な塗料カスからも
本技術は、自治体の資源循環政策にとどまらず、以下のような業界からの関心が高まっています:
・建設業界:建材の脱炭素化ニーズとの高い親和性
・廃棄物処理業界:処理困難物の「出口」としての可能性
・自治体・環境政策分野:地産地消型の資源循環モデルとして注目
・CSR・ESG関連部門:企業の再資源化事例としての導入検討
今後は、複数の自治体や企業と連携したパイロットプロジェクトが予定されており、業界横断的な活用が期待されています。

捨てるのに困っていたものを社会に貢献できるものに
今回の取り組みは、持続可能な未来を実現する商品として、今後ソーシャルプロダクツ・アワードなどでの評価も期待されます。単なる技術開発にとどまらず、「資源の使い切り」「地域経済への循環」「公共価値の創出」という社会的インパクトの広がりに注目が集まっています。
“どうせ捨てるもの”が、“まちの資産”になる。
“混ざっているからリサイクルできない”という常識を、現場から変えていきたいと思っています。