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水戸芸術館で田村友一郎さん個展 生成AI使い自分振り返る

現代美術家の田村友一郎さんと新作「ATM」

現代美術家の田村友一郎さんと新作「ATM」

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 現代美術家の田村友一郎さんによる展覧会「田村友一郎 ATM」が11月2日、水戸芸術館(水戸市五軒町)で始まった。

「ATM」に任意のアルファベット3文字を入力すると自動でテキストが生成・印刷される

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 田村さんは1977(昭和52)年富山県生まれ、京都府在住。写真、映像、インスタレーション、パフォーマンスや舞台とさまざまな表現方法で、既存のイメージや対象を起点にした作品を手がけており、同展は田村さんにとって7年ぶり、過去最大規模の個展となる。

 同展で、田村さんは生成AIを用いた新作「ATM」を発表。「水戸芸術館の英語表記『Art Tower Mito』の頭文字から着想を得た。ATMの『T』は『Teller』で、日本語だと『銀行の窓口係』の意味のほかに『語り手』という意味がある」と田村さん。第1室にある銀行のATMを模した作品では、来場者がタッチパネルで入力した3文字のアルファベットから、AIがショートストーリーを生成しプリントアウトされる。田村さんは「自分の過去のテキストに含まれる単語から文章をつくっている。AIが自分の書き口を学習しているわけでなく、文脈から切り離された単語をただつなぎ直して、新たに物語を創作する」と話す。

 第2室以降では、田村さんの過去作品の一部を展示する。田村さんは「もともとの作品との関係性は断ち切られ、単なる物自体として遊離している」と話す。第5室を抜けた後に続く長廊下には、倉庫のように過去作品の一部を大量に並べる。田村さんは「ここまでに展示されたものは、一定のルールの下でここにある物と代替可能であると示した」と話す。「全体として自分の回顧展になっている。ただし、作品としての文脈を取り除いた状態で展示され、並べられた物から新たな物語がつなぎ直される可能性がある」とも。

 同館学芸員の井関悠さんは「田村さんはこれまでも虚構と現実を行き来するような作品を作ってきた。そこで作られた物語はフィクションだとしても全てが嘘というわけではなく、受け取る側にとっては真実となり得る。今作もそういった内省的なものになったのでは」と話す。

 田村さんは「言ってしまえば物があるだけなので、即物的に見てもらえればと思う。意味はないとも言えるし、人によってはそこに意味を見いだす可能性もある」と話す。

 開催時間は10時~18時。月曜休館(1月13日除く)。入場料は、一般=900円、高校生以下・70歳以上無料。1月26日まで(12月27日~1月3日、1月14日休館)。

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