茨城大学バイオ燃料社会プロジェクトは3月26日、「バイオ燃料(E10、E3)試走会」を同大水戸キャンパス内(水戸市文京2)で開いた。スイートソルガムという植物から抽出したバイオエタノールの混合燃料での自動車走行は世界初。
試走会は同大学とともに共催する茨城県、日立市、かすみがうら市、阿見町の関係者らが出席。スイートソルガムから取り出したバイオエタノール10%を含む「E10」と、公道走行が可能な3%混合の「E3」の2種類の燃料を使った車の試走が行われた。
スイートソルガムはアフリカ原産の高さ5メートルほどの植物で、茎の部分に糖を蓄積することから、同大学農学部の新田洋司教授らが2008年からバイオ燃料化に取り組んできた。食用植物ではないため、トウモロコシやサトウキビといった野菜高騰の原因ともならず、寒冷地などでも栽培可能で、農地の耕作放棄地での栽培が見込まれる。
また、窒素やリン、重金属、カドミウムなどの汚染土壌の浄化作用があり、荒れた畑が油田化する可能性を秘めている。
池田幸雄同大学長も「空気中の二酸化炭素を吸うのでカーボンニュートラルな燃料。絞りかすは飼料になり、新しい産業を生み出すことができる」とメリットを強調する。
新田教授は「2012年には栽培からアルコール生産、経済評価、環境評価を含めた茨城モデルのシステムを作る。バイオ燃料の地産地消を目指す」と話す。