
「水道事業」の現状や課題を若者の視点で捉える産官学連携の啓発セミナーが7月3日~24日、文化デザイナー学院(水戸市泉町)で全4回にわたり開催された。
同セミナーは、水道会社「横浜ウォーター(神奈川県横浜市)」、城里町上下水道課、文化デザイナー学院の三者が連携。未来を担う若年層に、水道事業の現状や課題について理解を深めてもらうとともに、将来の水道のあるべき姿や同世代への発信方法を考えてもらうことが目的。国土交通省事業「水道事業の啓発に向けた調査検討及びセミナー企画運営業務」の一環として開催され、本年度は文化デザイナー学院・広告プロモーションデザイン学科・地域デザインゼミの3年生17人が参加した。
セミナー1回目は、水道の仕組みや歴史、水道事業の経営課題などについて、「横浜ウォーター」職員が講義を行った。学生たちは「理想の水道の姿」「その実現方法」「それを同世代にどう広めるか」という3つのテーマに基づき、チームで発信の方法を考え始めた。ゼミ講師の坂本裕二さんは「社会課題に目を向け、解決策を考える実践的な学びの場」としてこの日の授業を位置づけ、学生たちにデザインの視点からの提案を促した。
2回目は、城里町にある石塚浄水場を訪問。城里町上下水道課長・江幡守仁さんの案内で、昭和40年代に建設された施設を見学した。薬注室や沈殿(ちんでん)池、急速ろ過器などを実際に見て、水道水ができる仕組みを学んだ。城里町の浄水場でつくられた水と市販のミネラルウオーターを飲み比べる「利き水体験」も行った。
3回目は企画作成に取り組み、最終回となる第4回では、学生4チームが企画発表を行った。提案内容は、水道水を活用した化粧品開発、水道事業の仕組みを学べる体験型イベント、遊びながら知識が身につくボードゲーム、水道管を使った灯ろうイベントなどのアイデアが出そろった。
「横浜ウォーター」の久保田裕史さんは「どの企画も実現性が高く、1カ月という短期間でここまでの完成度に仕上げたことに感動した。この成果を国にきちんと報告し、広く発信していきたい」と話す。
「水道管の灯ろうイベント」を提案した学生の酒井風瑠さんは「最初は『水道』というテーマに対して、どのような企画ができるのか想像がつかなかった。講義や浄水場の見学を通して理解が深まり、企画につなげることができた。興味を持ってもらう入り口として、手を動かして体験する方法が良いのではと考えた」と話す。