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水戸芸術館で大洗在住アーティストによる個展 土地と響き合う新作4点

兵庫県出身、大洗町在住のアーティストの白丸たくトさん

兵庫県出身、大洗町在住のアーティストの白丸たくトさん

 大洗町在住のアーティスト、白丸(しろまる)たくトさんの個展「クリテリオム102 あわいの響き」が現在、水戸芸術館(水戸市五軒町)で開かれている。

投影される写真と白丸さんの詩を重ね合わせる「混生:2つの防潮堤」

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 白丸さんは1992(平成4)年、兵庫県生まれ。これまで山形・水戸・大洗と拠点を移し、土地土地で接する環境や出来事、他者と自身との間に生まれる共鳴から、音や言葉、アクション、記録などを組み合わせた表現を追求している。「クリテリオム」は、若手作家と同館学芸員が共同企画する新作中心の展覧会シリーズ。白丸さんは水戸芸術館の展示設営スタッフとして勤務した経験があり、「クリテリオムは憧れの場。想像より早く声をかけられ、うれしさと戸惑いがあった」と振り返る。

 今回は大洗町をテーマにした新作4点を展示。「混生:2つの防潮堤」では、同町の防潮堤を舞台に、白丸さんの詩作やプロスケーターの滑走という行為から、地域の余白を捉え直す試みが表現される。展示室内では、海岸で録音した自らの呼吸と波の音を2台のカセットテーププレーヤーで対にして流す「その存在に耳をすます 202602」を再生する。

 壁面には、白丸さんが那珂川を水戸市から大洗町の海門橋までカヤックで下る様子を映像に収めた「あまねき明滅」を上映。同作中で、白丸さんは自らの心臓の鼓動を光と音に変換して発しており、映像と同期して展示室内のライトが明滅する。白丸さんは「直接的には見えない人の鼓動が、川を通じて海にどう響いていくのかを確かめたかった。大洗に関わる一つのきっかけになった」と話す。

 「『火々』を拾う」は、制作過程で書き連ねた日記から言葉を拾い、会場の壁面に書き記した作品。「キーボードの『パチ、パチ』という音を、薪の爆(は)ぜる音にたとえた」と白丸さん。会場のベンチの下にはスマートフォンが仕込まれ、白丸さんがどこからでもリアルタイムで詩を朗読できる仕組みになっている。

 同館学芸員の後藤桜子さんは「白丸さんの作品から、大洗という土地のありようや海辺と陸の関係が見えてくる。行為の結果として返ってくる手応えを、『こういう意味かもしれない』と決めきらないまま続けるような、そういう不定型な活動が特徴的。地域の若い作家の可能性を見てもらえれば」と話す。

 「大洗はいろんな人や文化が行き来して、港町らしく風通しが良い」と白丸さん。「水戸や大洗に住む人に見てほしい。自分の目線が誰かと、何かと響き合えば」と来場を呼びかける。

 開催時間は10時~18時。月曜休館(5月4日は開館)。入場料は同時開催の展覧会入場料に含む。5月6日まで。

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