「あんばまつり」が7月26日、茨城町涸沼湖畔の大杉神社(茨城町下石崎)で行われる。
涸沼の湖上に船山車を浮かべ、その上で舞を奉納する祭礼。下石崎地区の前谷区、後谷区、長洲区、遠西区、台区の5区が持ち回りで当番を務め、当番区の世話人が神事と船山車の運営を担う。今年は台区が当たる。
世話人長の金沢康夫さんによると、地区が主体となって行うのは2019年以来7年ぶり。コロナ禍で中断し、昨年は有志が祭りをつないだ。祭りを懐かしむ声、再開を望む声が上がり、世話人との協議と氏子総代への相談を経て、今年1月に実施を決めた。
今年は「広浦にっぱち会」「小浦あんばの会」「広浦振興会」の3団体が船山車を出す。船山車は「遊山舟(ゆさんぶね)」と呼ばれ、シジミ漁などに使う船を並べてつなぎ、木材を組んで組み立てる。世話人の海老沢彰さんによると、1日数時間の作業を3日ほど続けて仕上げるという。海老沢さんは、船山車を作りながら「活気が出てきてうれしい」と話す。
船上では、キツネやひょっとこ、おかめの面を着けた踊り手がおはやしに合わせて舞う。見どころは日が落ちてきてからの舞。夕方に湖上へ出た船山車は、暗くなるとともにあんどんの明かりをともし、幻想的な雰囲気を醸し出す。19時ごろには神社前に乗り付ける「のっこみ」が始まり、一台ずつ入れ替わって芸を披露する。
祭りは、境内の記念碑によると、涸沼周辺で天然痘が流行したことから、1838年に現在の稲敷市にある大杉神社本宮から分祀(ぶんし)したことに始まる。郷土資料には「大杉神社のお田植祭」と記され、地域では「あんばまつり」と呼ばれる。無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を願う行事として180年以上受け継がれ、町指定無形文化財となっている。大杉神社が立つ広浦公園は景勝地でもあり、水戸藩9代藩主・徳川斉昭が1833年、水戸八景の一つ「広浦秋月(ひろうらのしゅうげつ)」として選んだ地。斉昭は舟で訪れ、広浦の月を歌に詠んだ。
金沢さんは子どもの頃、祖父母に手を引かれて当たり前のように祭りに通った。船山車の老朽化や担い手不足を抱える中、「コロナ禍前と同じ規模で行うのは難しいかもしれないが、まずはやってみないことには始まらない。正解は分からないがやれることをやってみようと思っている。久しぶりの機会をぜひ見に来てほしい」と7年ぶりの開催に向け意気込みを見せる。
開催時間は18時~21時。広浦港から大杉神社(広浦公園)までの湖岸沿いの道路は18時から21時30分まで歩行者天国になる。