今年度で4回目となる「IBARAKIドリーム★パス」事業。主催の茨城県教育委員会が展開する同事業は2019(平成31)年7月、茨城県内の中高生を対象にスタート。地域の課題発見・解決に向けた企画立案や実践を通し、夢の実現に向けて積極的に挑戦するアントレナーシップ(起業家精神)を持った人材を育成しようと進めている。今年は、県内の中学校高等学校から273件の応募があり、選考を通過した16チームが戦略チームとして選出された。2月18日にプレゼンテーション大会が行われる。
1鉾田第一高等学校附属中学校
「北浦の在来種を増やすためには~水路にRiverBoxを設置して在来種を増やそう~」
在来種と外来種が共存できる環境を整えるために、北浦水域の水路に小型漁礁(RiverBox)を設置する。
北浦付近の釣具屋や漁協でインタビューを実施。水槽実験では2種類の漁礁を置いた水槽の中に、6種類の魚を入れ、カメラのタイムラプス機能で撮影した。今後も水槽実験を繰り返し行い、データを取りながら、最適なRiverBoxを作成する。また、RiverBoxの設置場所を決め、設置する。
2大子清流高等学校
「どこでもかご~地球を救うWOODなボックス~」
人口減少、少子高齢化、経済規模の縮小化等の大子町の現状を踏まえ、大子産木材を活用した形状を自在に変化させられる「かご」を製造・販売することで、大子町での雇用の創出・エコシステムの形成を目指す。
かごの試作品を作製。制作工程の多さ等が課題となった。アンケート調査では大子町で制作していることや、高校生が制作していることが評価されていることから、販売体制を大子町内で構築することとした。森林組合が行う伐採作業の見学も実施。大子町の木材の価格について知ることができた。かごの製造者が決まっていない等の課題を踏まえ、今後もかごのブラッシュアップ等を進めていく。
3常陸大宮高等学校
「IBARAKI投資カフェ&6次化ダイニング」
~金融機関と連携した茨城から最先端の金融教育と美味しさの発信~
金融教育を学びながら茨城の食についても発信できるスペースを作るため、空き店舗を活用した投資カフェと茨城の食を楽しめる6次化ダイニング等を作り、民間企業と合同で運用する。
気軽に楽しく投資や金融教育を学ぶことができる環境づくりと高校生が茨城の食材を使った食事の提供を通して食育と郷育をできる店舗の設営を目指し、道の駅常陸大宮かわプラザと常陸大宮市立明峰中学校にて市場調査を兼ねた金融教室を実施。集客方法や事前準備等に関する改善点を意識してイオン水戸内原店にて3回目の金融セミナーを実施する。
4緑岡高等学校
移動可能な緑地を作る
ヒートアイランド現象や地球温暖化の解消のため、軽量化土壌を移動可能なサイズでパッキングし、その中で植物を育てる「移動可能な緑地」の 実現を目指す。
リサイクルガラス発泡資材を使って軽量化した土を作り、小麦を育成。通常の土壌と比較して土の重量を30%軽量化できた。検討結果から土の中にリサイクル繊維培地を追加。今後は、肥料の変更、給水方法の改善、容器に付ける持ち手の製作を進める。
5 水戸農業高等学校
私たちのつくる未来のカタチ
~農業の未来を変える「儲かる農業」 を目指して 会社設立~
農業を「儲かる」「稼げる」「安定している」産業にし、高校生が農業をやりたいと思える、地域を巻き込んで元気な明るい未来をつくるため、会社を設立する。
法人化にあたり、事業案やロゴ、組織図等を作成。卒業生に会社役員への就任を依頼した。また、水戸京成百貨店やJR水戸駅改札付近などで開催される販売会に5回以上参加。各種コンテストにも参加し、茨城学生ビジネスプランコンテスト2023では最優秀賞を受賞。今後は、法人化を進めながら地域貢献活動を行なっていく。
6 勝田高等学校 勝田中等教育学校
いらないなんて言わせない ~コーヒーかすの可能性~
廃棄されるコーヒーかすを使い、高齢者や子供が口にしても安全な脱臭剤を開発する。
消臭効果を計測するために、炒る、乾燥機、天日干し、電子レンジの4通りの方法でコーヒーかすを乾燥させ、アンモニア濃度の変化を調査した。試作品は介護施設フロイデ在宅サポートセンターひたちなかで使用してもらいアンケート調査を実施。結果を元に試作品2号はコーヒーかすの量とデザインに工夫を凝らした。今後は、脱臭剤の改良に加え、商品化を試みる。
7 海洋高等学校
色覚多様性のある方にも区別しやすいランプの開発・研究
だれでも取りたい資格・就きたい職業に挑戦できる世の中の実現を目指し、色覚多様性の方でも識別しやすいランプを開発する。
ハンデキャップがあっても職業選択を自由にできるよう色の識別方法を研究。識別多様性という言葉の普及、ハンデキャップによって職業選択に不自由があるという事実を広め、研究結果を元に賛同企業や行政を見つける事を目指す。書籍による研究、眼鏡の販売店「メガネスーパー」にて専門家から意見を得て、「見えやすい色」と「見えにくい色」を絞り出す実験装置を作製。今後は見分けやすい色の組み合わせを見つけ、実際に色覚多様性を持っている人に見分けることができるか確かめる実験を行う。
8 波崎柳川高等学校
避難所における外国人住民へ私たちができる最善の支援方法とは??
避難所生活において、外国人住民のみならず避難者が適切な支援をスムーズに受けられるようにするため、ピクトグラムカードなどを制作する。
カードの内容を決めるため東日本大震災時の避難所の対応について教員へ聞き取りを実施。また、ピクトグラムと「優しい日本語」の効果を調べるため、自治体国際化協会多言語指差しボードを使って日本語の分からない外国人の教員へ聞き取り調査を行った。千葉科学大学の藤本教授とのオンラインミーティングでは、カード作成に関する助言を得た。今後はユニバーサルデザインを参考にしたカード作成のほか、ゼッケンの制作に取り組む。
9 竹園高等学校
垂直軸型風車の発電効率を改良する ~日本の風に最適な風車のカタチとは~
垂直軸サボニウム風車の発電効率を上げるために、主に風車のギア比を変えたときの特定風速下における発電量を調べ、風力発電のデメリット解消を目指す。
ギアの減速比が小さいほどモーターの回転数は上がり、トルクは小さくなると仮説を立て、減速比、アスペクト比、風速の3つの条件を変えて実験を実施。その電流の大きさを測定した。今後は本物の風力発電に近づけるため、歯車の歯数を大きくするなど5つの課題の解消に取り組む。
10 竹園高等学校
バナナバイオエタノール~環境保全と経済活性化の両立を目指して~
環境負荷の軽減や経済の活性化等を目指し、バナ ナの茎(偽茎)を主原料としてバイオエタノールを製造する。
偽茎に糖が含まれているか検証するため、偽茎を粉砕し、絞り汁を加水分解せずにイースト菌を加えた。また、より効果的に糖を得る方法の検証も行った。今後は、バイオエタノールの製造コストを下げるため、カビを用いて分解を行う実験を進める。
11 つくば工科高等学校
ソーラーパネルメンテナンスロボット~宇宙大航海時代を目指して~
再生可能エネルギーを安定供給できる未来を目指し、ソーラーパネルを自動でメンテナンスするロボットを開発する。
ソーラーパネルの導入容量が1位の茨城県。メンテナンスロボットの試作に加え、ソーラーパネルの上に落ち葉を置き、その面積を変動させながら、開放電圧、短縮電圧、負荷電圧の変動を検証した。
12 つくば工科高等学校
霞ヶ浦で泳ぎたい! ~水中探査で豊かな未来を~
湖水浴場の復活を目指し環境産業の拡大につなげるため、水面下の環境計測だけでなく、特定外来生物の分布データを取得し、水中を移動できるロボットを開発する。
水中ロボットの開発にあたり、電子回路基盤の製作やモータドライブ回路とプログラムの確認、カメラの搭載等を行った。水中ロボットコンベンションin JAMSTEC2022では準優勝を受賞。実際に霞ヶ浦でロボットを潜らせた結果を踏まえて、新機体の製作を進める。
13 つくば工科高等学校
『畑の平和を守るロボット雑草三兄弟』農業をロボットでサポートしたい!除草ロボットの研究
自律型雑草除去ロボットの研究と実機モデルの製作を通して、茨城におけるスマート農業の可能性を探る。
江戸崎総合高等学校での農作業体験や農産物直売所での聞き取りを実施。 製作した試作品には緑色の物体を認識するシステムを搭載した。完璧な機器を目指していたが、農家には「若い人たちが真剣に農業に取り組んでいるだけで嬉しい」と言われ、気づきがあった。
14 つくば工科高等学校
看護師に救いの手を~あなたのとなりにバイタルサイン~
看護師と患者の負担を軽減するために、車いすに座るだけでバイタルサイン(脈拍、呼吸、体温、 血圧)測定できる器具を開発する。
バイタルチェックに時間がかからず、データの保存、緊急時の迅速対応機能などを行える製品の目指して、試作品を制作。医療機器産業研究所との意見交換、茨城大学でプレゼンテーションも行なった。今後は測定性能の向上、機能の絞り込み、携帯のしやすさについて重点的にブラッシュアップを行う。
15 石下紫峰高等学校
International Language for 幼稚園児
日本語をほとんど話せない外国籍の子どもが幼稚園生活により早く慣れるようにするため、幼稚園児や幼稚園の先生のコミュニケーションの支援策を企画する。
支援策としてカードを作成。2カ所の幼稚園でインタビューを行い、カードに使うフレーズを決め、6言語への翻訳を行った。今後は翻訳作業を続けながら他の言語も増やす。また、使用時の感想を反映させながらカードの完成を目指す。
16 水海道第一高等学校
ENGLISH SURVIVAL CAMP ~英語で話さないと生きていけないキャンプ!?~
英語の学習意欲を高めるため、英語をコミュニケーションツールとしたキャンプの仕掛けを考案し、楽しく学べる英語学習プログラムを開発する。
10月にスカベンジャーハントを取り入れたハロウィン企画、12月に英語で会話しながらクッキーを作るクリスマスイベントとアンケート調査を実施。今後はキャンプ企画とバレンタイン企画を予定している。