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茨城東高キャリアデザイン体験学習 地元「涸沼」舞台に五感で学ぶ自然観察体験

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 茨城県立茨城東高校(茨城町小幡)では、1年生を対象としたキャリアデザイン体験学習を実施している。福祉、農業、自然観察など、地域に根ざした多様な体験を通じて、生徒たちの学びを深めている。

学習の舞台は涸沼水鳥・湿地センター
 同センターは国内12番目となる「水鳥・湿地センター」として2024年11月、茨城町・鉾田市に開設。ラムサール条約登録湿地である涸沼の自然や歴史などを学ぶことができるのが茨城町の展示施設。野鳥の観察に特化しているのが鉾田市の施設。どちらも涸沼周辺に生息する動植物などについて観察したり、学んだりできる。

(写真1)涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)


(写真2)内部の様子

(写真3)セミナールームの様子

涸沼での自然観察体験
 茨城東高校の1年生が、2024年11月12日、ラムサール条約登録湿地「涸沼」で自然観察体験を行った。キャリアデザイン体験学習の一環として、生徒たちは環境保全、地域の生態系、郷土の魅力を五感で学び、事後学習で涸沼のポスターを制作した。

1. 涸沼水鳥・湿地センターでの学習
 生徒は展示施設に併設するレクチャールームでラムサール条約登録湿地「涸沼」についての講話を聞いた後、展示物を見学し、涸沼の歴史や環境について学んだ。今年はセンター開設に伴い、環境を変えて涸沼の湖畔での学習を行った。

(写真4)生徒たちが講話を聞き、展示を見学した「涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)」。シジミ漁の疑似体験ができる

(写真5)涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)からの景色。シンボルツリーが目の前に立つ

2. 環境保全活動
 環境保全活動として涸沼沿いのごみ拾いを行った。本活動は涸沼の自然に触れながら、環境保全を自分事として捉える意識の醸成を目的としている。生徒は活動を行いながら、水面を跳ねる魚やカニ、白鳥など、涸沼に生息する生き物に出会い、自然豊かな涸沼の環境を学んだ。事後学習として涸沼のポスター制作を行うため、さまざまな視点で気づいたこと、気になることなどをカメラに収めながら活動を行った。

(写真6)涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)周辺の涸沼沿いのごみ拾いを行う生徒たち

(写真7)涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)周辺の涸沼沿いのごみ拾いを行う生徒たち

(写真8)涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)周辺の涸沼沿いのごみ拾いを行う生徒たち

(写真9)カニを見つけて捕まえた生徒

3. 郷土の味を体験
 センターの近くにある涸沼自然公園キャンプ場で、生徒全員で「しじみ汁」を作り、昼食に出来たてのしじみ汁を実食。地元の特産物を再認識し、郷土愛を育むことや「同じ釜の飯を食う」という経験を通して、生徒同士の絆を深めることなどを目的に行った。

(写真10)涸沼特産の「ヤマトシジミ」で「しじみ汁」を作る様子

(写真11)涸沼特産の「ヤマトシジミ」で「しじみ汁」を作る様子

4. 野鳥観察
 いこいの村涸沼インフォメーションプラザを起点に双眼鏡の使い方のレクチャーを受け、涸沼沿いの野鳥観察。野鳥の講師の説明を受けながらカモ類、カンムリカイツブリの幼鳥などさまざまな渡り鳥の姿を観察した。

(写真12)野鳥観察の様子

(写真13)野鳥観察の様子

(写真14)野鳥観察の様子

教育的意義
 進路指導の川上一成教諭は「今年は『五感で感じる時間を増やし、校外での協働を通して新しい発見をしてほしい』と考え、実施内容を変更し体験型学習を展開した」と説明する。

 学年主任の塚原康貴教諭は「茨城町唯一の高校として『故郷の自然を守る』をテーマに環境保全学習に臨んだ。今回初めて涸沼を訪れる生徒も多く、素晴らしい環境に圧倒されていた」と当日の様子に触れ、「事後学習では、生徒たちが撮影した写真を組み合わせ、ポスター作りに励むなど環境保全に興味を持つためのきっかけとなる貴重な一日になった」と振り返る。

生徒の声
 ポスター制作を終えた1年1組の高木聡太さんは「涸沼は自然が美しく、たくさんの水鳥やカエル、カニ、魚に出会えた。みんなでごみ拾いをしてよりきれいになり、うれしかった。また来たい」と振り返る。

成果発表
 生徒たちが制作したポスターは1月25日から2月末まで、涸沼水鳥・湿地センターで掲出している。

(写真15)涸沼水鳥・湿地センター(茨城町展示施設)に掲出している生徒のポスター


 

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