台風19号の影響で浸水などの被害があった水戸市の飲食店や美容室、学習塾などが被災者支援の活動を始めている。
洋菓子店「メゾンベニコ」(水戸市泉町、TEL 029-224-9005)」は、アルザス地方の伝統菓子の「クグロフ」の形をしたチャリティークッキーを1枚300円で販売する。その内の200円を寄付する。同店担当者は「災害現場に行きたくても、いろいろな事情で行けないとの声を多くいただいて、自分も何かできないかと考えた支援の形。災害にあわれた方々はつらいと思うが、少しでも前を向いて進めるように協力したい」と話す。
ダイニング「to_(トゥー)」(水戸市泉町、TEL 029-227-3122)は、オリジナルキャラクター「ワインモンスター」と店のロゴを使ったオリジナルステッカーを制作。1枚200円で販売。ステッカーの売り上げを全額寄付するほか、店の売り上げの一部も寄付する。店主の田口博之さんは「自分は昼も夜も仕事で気持ちはどうにかしたいけれど、なかなか災害現場に向かうことができない。募金は 同じような状況の人達にもできる支援だと思うので、まずできる行動から起こしていけたら」と話す。
茨城大学そばの「たねホール」(水戸市袴塚、TEL 029-231-0641)は、貸席を台風被災者、復興活動を行う人に無料で提供。会議や読書や休息などに利用できる。被災者の方には貸しピアノや絵画教室も無料にするという。
「典和神学ゼミナール」(水戸市千波町、TEL 0120-108-314)は、被災した塾生とほかの塾に通う生徒に対して、授業料を無料にするほか、通販サイト「Amazon」のほしいものリスト機能を使い、文房具の支援を呼び掛ける。金谷建史社長は「受験生などにとって今は勝負の月。ここで学生の手が止まると、お子さんの将来に影響が出てしまう可能性がある。塾としては、それだけはあってはならないと考えていて、継続し学びができる環境を提供していければ」と話し、「塾に通えなくなってしまった場合でも当塾が無償で迎える。文房具も、今後、支援が必要な方が増えれば、継続して文房具の支援も増やしていきたい。今回の文房具の支援にはSNS経由で遠方に住む方からも支援があった。このような経験を通して、受験生に多くの人から応援されながら受験に挑んでいることを感じてもらえたら」とも。
美容室では、「mahaloco(マハロコ)」(水戸市城南)「noiloni(ノイロニ)」が、被災者に対し「無料シャンプー」を提供。「マハロコ」社長の岩上巧さんは「県外のメーカーから、シャンプー剤の提供などもあった。被災状況や意識には格差がある。僕ら美容師はお客さまからの要望を聞くことから始まる仕事なので、シャンプーを通じて被災した方々のリアルな心の声が聞けるのではないかと思った。情報を公開することでより効率的な復興のお手伝になれば」と話す。「ノイロニ」オーナーの小林直樹さんは「病院は病を治し、美容院は心を満たす、と思っている。困った人が身近にいたら声掛けだけでもしていただければ。小さな美容院だができる事を1つずつ行動していきたい。共に乗り越えていきましょう」と呼び掛ける。