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水戸のアートディレクター女性が海外の映像大会に出品へ 「世界に優しさを届けたい」

制作中の出品作品

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 水戸在住のアートディレクター・イシイキヨコさんが現在、ポーランドで6月6日に開催予定のプロジェクションマッピング大会「Night of Culture」出品に向け、制作を行っている。

制作中の出品作品

 同大会は昨年から始まり今年で2回目。「CITYTENDER=まちに優しい」をテーマに構造物に寄り添った内容で競う。プロジェクションマッピングを投影するのは、オランダ生まれの建築家によって17世紀後半に設計されたバロック様式の建物。第二次世界大戦後、宮殿はポーランドの観光と観光協会(PTTK)によって再建され、 1970年代には、現在建物内にあるルブリン科学協会によって、元のバロック様式に復元された。

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 イシイさんらが手掛けた鹿島神宮でのマッピング制作中の2月、チームメンバーの外山敏和さんから大会参加を持ち掛けられたことがきっかけ。「彼は私のディレクション能力を自分には無い力として認めてくれていて、私も外山さんの技術やうまさがあれば、世界を舞台にしても狙える希望を感じていた」と振り返る。

 2月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、この先、しばらく仕事がなくなると予想。同大会の条件が合ったことで、エントリーを決めたという。

 「ノアの方舟」をテーマにストーリーを描き、美しくはかない優しさを盛り込んだ。「こんな今だからこそ、私ができるスタイルで、世界へ優しさを届けたい」とイシイさん。平均律は調和の取れた調律がある美しい曲として「平均律クラビアータ、1番のプレリュード」を選んだ。イシイさんは「自然界においても美しいバランスがある事を意味として含ませている」と話す。制作を進める中で、SNSなどで不安や不満の声を目の当たりにし「今、自分が伝えたい事を優しさにのせて寄せられないだろうか」と考え「ノアの方舟」というキーワードが生まれたという。

 「世界がコロナで落ち込む中、友人も次々と無収入になっている。私もどんどん仕事が無くなり、泣く日もあるが、恐怖や不安で失いつつあるもう一つの側面を、優しさをもって投げ掛けたかった」とイシイさん。「批判を批判してもきっと心には届かないから、私らしいやり方で現状打破に挑戦したい」と意気込む。「希望を見い出すのが難しい毎日のなか、ワクワクする話題を届けたい。自分の姿勢が誰かの励みになって、そのエネルギーを自分も生かしてこの状況をなんとか超えたいと思った」とも。

 制作中の作品では、「自然の摂理」や「生と死」にフォーカス。作品を通し、情勢が落ち着き、また世界に日が差し込み新しい日々が訪れる時に「そこで何を見いだすか」を問い掛ける。イシイさんは「恐怖や不安から離れ、運命を全て受け入れて美しい景色を一緒に見て、絶妙な秩序で保たれている奇跡の今生きる喜びを一緒に感じていただければ」と呼び掛ける。

 「今までの当たり前が通用しなくなっていて、あり方を見直す時期。新しいことをするのはとても労力がかかるし、今までを捨てるのもとても痛いこと。私も何度も脱皮するくらいの気持ちで今と向き合って戦っていく。猛烈に自分の命を使って楽しんでいく」とも。

 制作の過程は、イシイさんのフェイスブックやインスタグラムで公開している。