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水戸の純喫茶「喫茶 富・BENZ 103」が再開 「長く続けていけたら」

(左から)再開を目前に笑顔を見せる森さん、五ノ上さん、飯塚さん

(左から)再開を目前に笑顔を見せる森さん、五ノ上さん、飯塚さん

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 新型コロナウイルスの影響で4月30日に廃業した水戸の老舗喫茶店「喫茶 富・BENZ(ベンツ)103」(水戸市泉町、TEL 029-224-2240)が6月1日、再開した。

五ノ上さんの作るサンドイッチ、卵焼きは甘めの味付け

 同店は、1963(昭和38)年に「喫茶 富」として水戸市南町で創業した純喫茶。1967(昭和42)年12月から、泉町に移転し「喫茶 富・BENZ-103」として営業していた。レトロな雰囲気と、店のガレージにある創業者の古いメルセデスベンツ1台がアイコンとなっている。ネルドリップのコーヒーが看板商品。70歳~85歳の女性従業員3人が日替わりで対面カウンターに立ち、切り盛りする。

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 新オーナーは市内に住む会社経営者の男性。4月27日に閉店を知り、30日には家主に問い合わせた。新オーナーは「20年ほど前から店に来ていた。建物やコーヒーの味、店の雰囲気が好きだった」と話す。「この場所が誰かに購入されたら、建物の建て替えなどで、この雰囲気の良さがなくなってしまうかもしれない。憩いの場として、この喫茶店を守りたい」と、オーナーになることを申し出た。

 従業員や創業者の親族と交渉し、5月4日に継続した経営や従業員の再雇用について合意が取れたことから事業譲渡の契約を進めたという。5月26日、保健所の許可が下り、6月1日に再開した。

 30年以上、店で働く飯塚巴代さんは「良かった、うれしいというのが率直な気持ち」と胸をなでおろす。「閉店は4月27日に知らされ、急だったので驚いたが、数日のうちに新オーナーが決まり、あっという間に再開が決まった。長年ここで働いていて、働きに来るというより自分の店のような感覚。今まで通りやり続けて頑張るつもり」とほほ笑む。

 五ノ上律子さんは「感謝でいっぱい。『閉店したら行くところがない』と言っていた常連さんも喜んでくれている。憩いの場として長く続けていけたら」と笑顔を見せる。森茂子さんは「目まぐるしく状況が変わる中で戸惑いもあったが、うれしい。再開に向けて、片付けをしていると『また来るよ』と顔を出してくれる常連さんもいる」と話す。

 メニューはブレンドコーヒー(アイス、ホット)、パスタ、サンドイッチ、トースト。フードメニューに統一したレシピはなく、全て三者三様の自己流だという。「この人のパスタが好みだな、など楽しんでもらえたら」と五ノ上さん。「対面でコミュニケーションを取れる喫茶店は少ない。こちらが悩みを打ち明けて助言をもらうこともある。人生長いのでいろいろなことがあるが、この閉店から再開までも話題にしていけたら」と笑う。飯塚さんは「同世代の方から悩み相談を受けることもある。この年齢だからこそ話しやすい部分もあるのでは」と話し、「これまでの常連さんはもちろん、これをきっかけに若い方たちにも来てもらえたら」と呼び掛ける。

 5月31日には、新調した看板の除幕式も行った。新聞を見て立ち寄ったという市内在住の女性が「なくなってしまうと知ってショックだったが、再開すると知ってうれしい。またコーヒーを飲みにきます」と声を弾ませる姿や、近所の常連客などが従業員に「良かったね。明日来るよ」などと声を掛ける姿も見られた。

 新オーナーは「創業から57年余り、お客さまに育まれてきたこの店を絶やしたくないという思い。値段の改定はあるが、それ以外はメニューも変わらず3人が店を切り盛りしていく。再始動する店が皆さんにとってのよりどころであり続けることができたら」と期待を込める。

 営業時間は8時~19時。