オーディオドラマ版「『最貧前線』宮崎駿の雑想ノートより」の配信が6月26日、水戸芸術館サイト特設ページ「おうちで楽しむ水戸芸術館」で始まった。
水戸芸術館ACM劇場芸術監督の井上桂さんによると、新型コロナウイルスの影響で多くの公演がキャンセルとなる中で、公共施設として地域貢献や雇用創出などが課題となっていたという。緊急事態宣言解除後、公演の実現にさまざまなハードルがあるものの、演劇制作の経験や人脈をつなぐことでオーディオドラマが作れるのではないかと思いつき、スタジオジブリの宮崎駿監督に相談。昨年同館で上演した舞台版『最貧前線』のオーディオドラマ配信企画が実現した。
同作品は、太平洋戦争末期、海戦の最前線に放り込まれた漁師と兵士の物語。井上さんが企画・脚本を担当し、オーディオドラマ版では、舞台版にも登場した14歳の「見習い」の視点で新たに物語を作り直した。「舞台を見てくださった方にも、初めてこの作品に触れる方にも、楽しくお聞きいただけるようになっている」と井上さん。
オーディオドラマの声役には、舞台版で見習い役を務めた前田旺志郎さんをはじめ、山本龍二さん、鳥山昌克さん、春海四方さん、安達勇人さん、福本伸一さん、山口森広さん、杉木隆幸さん、柳家花緑さん、近藤芳正さんらが出演する。
全7話で1話約20分。6月26日に第1話の配信が始まり、第2話を7月3日、第3話を7月4日に配信する予定。4話からの配信日は順次ウェブサイトで発表する。
井上さんは「思いがけない危機に立ち向かいながら、必死に生きる人々の物語をぜひ多くの方にお聞きいただければ」と呼び掛ける。