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茨城町で一毬一果の飯沼栗、出荷始まる 「地域の盛り上がりに」

手際良く選別を行う組合員ら

手際良く選別を行う組合員ら

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 茨城町で現在、特産品である「飯沼栗(いいぬまくり)」の出荷が10月29日から始まっている。

つやのある大きな飯沼栗

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 「飯沼栗」は、茨城町下飯沼地区で生産され、下飯沼栗生産販売組合による特別な栽培・出荷方法を施したクリのブランド名。1つの毬(いが)に3個の果実が入る一般的なクリとは異なり、「1毬(きゅう)1果」を目標とした門外不出の栽培技術を確立し、全果洗浄や選別選果等を徹底。品質を劣化させずに糖含量を増加させる「冷温貯蔵技術」による強い甘みの優れた食味と、大粒で色つや・形状などの優れた外観を特長に持つ。

 収穫し、全果洗浄後、各農家貯蔵前後の2回と集荷所選果ライン1回の計3回の選果選別を実施。約1カ月間、各農家で、0~2度の低温で貯蔵し出荷する。市場には出回らず、茨城町のふるさと納税サイトや同組合の期間限定受注ページで注文できる(共に今年の受け付けは終了)。

 2017(平成29年)には、特別な生産方法や25年以上継続した地域の農林水産物をブランドとして国が保護する制度「地理的表示(GI)保護制度」にクリとして日本で初めて認定。茨城県では、2例目のGI認定となった。

 栽培しているのは下飯沼地区の11戸。昨年は47トンを出荷した。品質の高さから東京都中央卸売市場では平均価格の2倍で取引されているという。

 当日は、3000キロのクリの選別選果が行われ、同組合員と配偶者らが虫食いや腐敗、汚れなどを確認して取り除き、箱詰めまでを行った。下飯沼栗生産販売組合組合長の田口一彦さんによると、今年7月の長雨による影響で、小ぶりなものが多い傾向はあるが生産量としてはおおむね例年通りだという。

 田口さんは「クリ専業という就業形態は難しい現状がある。市況に左右されない価格と品質を保ちつつ、今後はクリ加工による6次産業化など、付加価値を高めていきたい」と話す。「クリの実は、植樹してから実ができるまでに約5年がかかる。高齢化で辞めるのは簡単だが、未来のためにもこの技術やブランドをつなげていきたい。飯沼栗で地域が盛り上がったらうれしい」と笑顔を見せる。

 今月13日には「あさ川製菓」駅南店と平須店で、飯沼栗を使った菓子「まんまくり」の販売を行うほか、水戸市のフレンチレストラン「COLK(コルク)」(笠原町)でのメニュー展開も予定する。

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