自転車の活用による観光振興を全県で推進しようと「いばらきサイクルツーリズム構想」を進める茨城県は11月11日、県央と海岸沿いの県北地域の7市町村を縦断する「大洗・ひたち海浜シーサイドルート利活用推進協議会」を設立した。
自転車活用推進方の施行や国の自転車活用推進計画策定など、国を挙げた自転車活用の気運を受け、2019年度から「いばらきサイクルツーリズム構想」を推進。「サイクリング王国いばらき」を掲げ全県での自転車活用による地域活性化を目指す。
茨城県にある山や河川、海岸線などの自然環境や地域資源を生かした全県での自転車活用として、4つのモデルルートを設定。モデルルートは「ナショナルサイクルルート」に選定された「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を核とした「つくば霞ヶ浦りんりんルート」、鬼怒川・小貝川の堤防をつなぐ「鬼怒・小貝リバー再度ルート」、県内最高峰・八溝山の山頂や里山の風景を巡るチャレンジルート「奥久慈里山ヒルクライムルート」、美しく変化に富んだ海岸線などを走り抜ける「大洗・ひたち海浜シーサイドルート」。
「大洗・ひたち海浜シーサイドルート」は茨城空港(小美玉市)から茨城町、水戸市、ひたちなか市、大洗町、東海村を経て日立市に向かう約95キロのルート。ビギナーから上級者向けを想定。本年度はプロモーション動画制作やウェブ構築、サイクリングマップ作成などの情報発信に関する取り組みのほか、誘客促進・消費拡大に向けた勉強会の開催支援やモデルコースの策定支援、現地試走会の実施などを予定する。
当日は7自治体のほか、茨城空港やひたちなか海浜鉄道、鹿島臨海鉄道など沿線の民間企業や団体、茨城県のサポートライダーを務める個人が参加。同協議会が発足した。
総会後、「輪の国びわ湖推進協議会」会長の藤本芳一さんが講演。「成功するサイクルツーリズム4つのポイント」として、行政のビジョンとリーダーシップの重要性や地域で活動する市民を含む地域資源の発掘や育成、官民協働、道路整備や安全教育と啓発などの環境整備を挙げた。
藤本さんはビワイチでの実例を交えながら、「自転車の旅は線の旅。その土地に昔からある自然や歴史、文化は大事」と話し、「サイクルツーリズムによる観光振興にとどまらない、環境と健康、生きがいや仲間づくり、住み良い地域づくりのためにも自転車の日常利用環境の整備と利用促進につなげる必要がある」と語った。