ひたちなかのラーメン店「屋台めし よなき屋」が12月1日、オープンから1カ月を迎えた。
ひたちなか市出身の滝田清明さんが構える同店。高校卒業後、地元企業に就職した後、ブライダル関連企業に転職。30年近く勤務する中で「このまま同じことを続けるだけの人生でいいのか」と一念発起し、独立。貸衣装店を営んでいた際、ひょんなことからラーメン店経営者に出会い、2015(平成27)年に貸衣装店の傍ら、クレープとラーメンの移動販売を始めた。
親方と慕うラーメン店経営者が昨年1月に同所にテークアウトのギョーザ店をオープンしたが、隣市で新店舗を構えることになり、後継者を探していたという。滝田さんも後継者を当たったが、コロナ禍もあり難航。今年10月、「さすがに作ったばかりの店を無くすのはもったいない」と滝田さんが同店を居抜きで譲り受けることとなったという。
「やると決めたなら自由にやれ」親方が背中を押した。滝田さんは「本当は店を持つ気はなかった。移動販売は売れるところに行けばいいが、店は待つことしかできない」と、胸の内を明かす。
メニューは、昔なつかしい中華そば「夜鳴きラーメン」(500円)、10種類のみそから厳選し滝田さんが作り上げた「味噌ラーメン」(600円)、夜鳴きラーメンの具を米の上に載せた「屋台めし」の「夜鳴き丼」(300円)、まかない飯をメニュー化した「タンタン丼」(500円)、「餃子」(350円)など。「夜鳴きラーメン」や「餃子」などメインとなるメニューは全て親方のレシピを引き継いだ。「おいしすぎない、まずすぎないラーメンこそが毎日食べられるラーメン」親方の言葉を守り、味は変えていない。テークアウトのギョーザも販売し、毎日16時、17時、18時に焼き上げるほか、冷凍でも販売する。
「夜鳴きラーメン」の「夜鳴き」は、夜、屋台で町を流しながらそばなどを売る際、客寄せのために声(チャルメララッパ)などを鳴らして販売していたというイメージから、移動販売車での販売の際に付けたもの。
滝田さんは「ここまで本当に多くの人の『縁』で出店依頼をいただいたり、ラーメン作りを勉強させてもらったりしてきた」と感謝をにじませ「この店は、たまたまラーメンが食べられる、そんな場所でいい。コロナ禍だからこそ、店舗の前に移動販売車などに来てもらって、1人では難しいこともみんなで作り上げる場にしていきたい」と意気込む。
「親方からいただいた店にレシピ、来てくれる移動販売車の先輩たち、何度も読んでくれる企業さん。ここは人と人との縁でつながった店。店は狭いが、見ず知らずの人たちがラーメンを食べに来て知り合いになって、何かのご縁につながれば」と笑顔を見せる。今後は、イベント中止により出店先のない焼き鳥店やクレープ店、野菜販売などに呼び掛け、日替わり・週替わりなどで同所での出店を行っていく予定もあり、年明けからのランチスタートも予定する。
「何か面白そうな店だと近所の方も立ち寄ってくれるような場になれば」と滝田さん。
営業時間は16~21時。水曜定休。土曜・日曜はイベント出店がメインのため不定休。