![「やよいひめ」を手に笑顔を見せる萩谷さん](https://images.keizai.biz/mito_keizai/headline/1612013799_photo.jpg)
茨城町小幡のイチゴ農園「HAGIYA FARM(ハギヤファーム)」で現在、今シーズンのイチゴの販売が始まった。
同農園では社長の萩谷秀一さんが計4棟のビニールハウスでイチゴを栽培している。祖父の代から始めたという農業を約20年前に父親から継いだ。現在3代目としてイチゴのほか、ニンジン、キュウリ、ピーマンなど季節物野菜も生産している。
萩谷さんによると、農業を始めた当初、子どもが畑に入りそのまま野菜や果物にかじりつく姿を見て、「安心して子どもに食べさせられる製法にしよう」と決意したという。現在、有機農法などに取り組んでいる。
イチゴ生産は土づくりからこだわっているという。出荷シーズンが終わる5月ごろ、土壌検査の後イチゴ栽培用の土に菌体を入れ、ハウスを締め切り約1カ月かけて太陽熱処理を行い、土を発酵させるという。
「安心して、おいしいイチゴを食べてほしい」と萩谷さん。同農園では、ミツバチを県内の養蜂家から借り受け、1つのハウスで約4000匹を飼育している。イチゴは3月に親苗を植え、4月に株分かれする枝「ランナー」の切り取りや摘花・摘果の作業を行い、1年がかりで栽培に取り組む。ミツバチが行う花粉交配(ポリネーション)でイチゴの果実を実らせる。ハウス内では受粉媒介のため放したミツバチが連日忙しく飛び回り「仕事」をしている。
「ハウスでの花粉交配(ポリネーション)用ミツバチの管理マニュアル(一般社団法人 日本養蜂協会)」によると、ミツバチ(働きバチ)寿命は約1カ月。働きバチの仕事は日齢が進むにつれて移り変わり、前半2~ 3週間は内勤期、後半1~2週間は外勤期で、この時期に花粉交配を行うという。
萩谷さんは「ミツバチはハウス内の温度が高いと巣箱に羽で風を送ったり、ハウスの上空に集まったり、ちょっとした温度や湿度の変化を教えてくれる。ミツバチは、おいしいイチゴ作りには欠かせない大切なパートナー」と話す。
同農園で生産しているイチゴは「やよいひめ」がメイン。「とねほっぺ」に「とちおとめ」を交配したものを育成し、さらに「とねほっぺ」を掛け合わせて誕生した品種という。サイズが大きめで、果皮の色は明るめの赤色が特徴。
萩谷さんは「うちのイチゴはミツバチとの連携プレーでできる物。粒が大きく、甘さと酸味のバランスの良いイチゴを味わっていただけたら」と笑顔を見せる。
JA水戸茨城地区農産物直売所さくら、ポケットファームどきどき茨城町店をはじめ、順次、近隣地域の総合スーパーなどでも販売する。
販売期間は5月初旬までを見込む。