中小企業庁が昨年12月22日、本年度の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を選定した。茨城県で4社、うち広域水戸圏で2社、選ばれた
明利酒類(水戸市)、サザコーヒー(ひたちなか市)、瑞井精工(常陸太田市)、津久勝(つくかつ・神栖市)の4社は、「生産性向上」「需要獲得」「人材育成」の3つの分野から選定された。革新的な製品・サービス開発、地域経済の活性化、多様な人材活用の観点から優れた取り組みを行っていると評価された。
「需要獲得」分野で選定された明利酒類は、時代に合わせた若者向けのリキュールなどの付加価値の高い新商品を製造販売するほか、新型コロナウイルス感染拡大により、消毒用アルコールが全国的に不足するなかで、全国に先駆けて手指の消毒液として代用可能なアルコール度数65%の高濃度ウオッカ「メイリの65%」の製造を行い、送料一部負担し全国に配送した。その後、医薬部外品事業の新工場を設立。MEIRIの消毒を開発。公衆衛生に貢献する新規事業を立ち上げた。
「明利酒類」常務取締役の加藤喬大さんによると現在、消毒液のインフラ化を目指し、これまでの酒造りとは違った販路の開拓や定着に注力しているという。水戸市をはじめ、隣接する地域との防災協定締結も進めている。「今、明利酒類が、消毒液や除菌といった形での展開をしていることを地元に浸透させるのがミッション。今回のコロナのように、需給バランスが崩れた時に、頼っていただけるような存在でありたい」と常務の加藤喬大さん。
選定を受け、「明利酒類」会長の加藤高蔵さんは「新型コロナの影響で酒類業界が逆風のなか、名誉な賞をいただけて大変ありがたく、誇りに思う」と喜びを見せ、喬大さんは「(選定には)本当に勇気づけられた。選定の知らせに、社員の表情も明るくなった。今後もより前向きに新たなチャレンジをしていきたい」と笑顔を見せる。
「サザコーヒー」は海外のスペシャルコーヒー、プレミアムコーヒーの輸入、買付に特化し他社競合と差別化を図るほか、筑波大学、茨城大学、千葉大学、茨城キリスト教大と連携したコーヒーの企画、販売を展開。茨城特産のリンゴ・イチゴ・クリなどの農作物を食材としたケーキの販売をするなどで消費拡大と地域振興に取り組んでいる。
「生産性向上」分野の「瑞井精?」は、開発から販売(創る、作る、造る、売る四位一体)までワンストップによるものづくり体制と高度な提案力により新規事業参入へ積極推進する。近年では、ものづくり補助金を活用し、医療業界への新規参入を果たし順調にシェアを伸ばしている。
「津久勝(つくかつ)」は、HACCP(ハサップ)認証取得や最先端設備導入で輸出体制を構築。水産物の6次産業化で高付加価値製品を展開している。「家庭の味」をコンセプトにオリジナル商品を開発するほか、社内管理のIT化や最先端設備の導入による迅速・安全な供給体制を構築している。