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常陸太田・郡戸小学校で閉校イベント 110年の歴史に幕

3世代で花火を見上げる姿も

3世代で花火を見上げる姿も

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 常陸太田の郡戸(ぐんど)小学校(常陸太田市中野町)で3月20日、閉校記念イベントが行われた。

キャンドルを前にした在校生

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 1872(明治5)年に「松栄(まつざか)小学校」として開校した同校。1912(大正元)年に松栄・小島(おじま)・花房(はなぶさ)尋常小学校が統合し、「郡戸尋常高等小学校」に改称。その後も、幾度かの改称を経て、2004(平成16)年12月に現在の名称となった。開校以来5000人余りの卒業生を送り出してきた同校だったが、時代とともに児童数は変動し、2021年度は66人となっていた。

 この日は、地元有志や各町会長、公民会、社会福祉協議会郡戸支部、郡戸親子クラブ、同校保護者代表による「郡度小学校閉校記念イベント事業実行委員会」の呼びかけで、児童や教員、卒業生、近隣住民が集合。卒業生が3世代で来場し、校舎を撮影したり、思い出を語り合ったりする姿も見られた。

 校庭では「郡戸小ありがとう2022」と文字になるよう並べたキャンドルへの点火や、児童らがメッセージを描いた約110個のスカイランタンが浮かんだ。18時30分になると、実行委員のアナウンスとともに学校の歴史に合わせた150発の打ち上げ花火や仕掛け花火が上がった。

 3月18日に卒業した綿引颯芽(そうが)くんは「閉校の話は5年生の終わりごろに聞いていたし、卒業はしたけれど、(閉校は)やっぱり悲しい。(郡戸小は)人数が少なかったけれど、1年生から6年生までみんなが一緒に遊んだり、助け合ったりしていた。落ち葉を集めて楽しんだ焼き芋パーティーや交流イベントなど思い出がたくさんある」と振り返る。

 井坂響くんは「郡戸小は歴史があり、自然もいっぱいで、行事などを通した地域の人とのつながりもたくさんあった学校。正直、『終わってしまうんだ』と寂しい気持ちはあるが、ここで培ったコミュニケーション能力やつながりをこれからも生かしていきたい」と先を見据える。

 花火の打ち上げ後、同校の榊雅彦校長と実行委員長の鴨志田治さんへ卒業生から花束が贈られた。

 同校のスローガンは「笑顔でチャレンジ郡戸っ子」。榊校長は「先日の式典で、卒業生代表の言葉に『新しいチャレンジをしていく』という一言があった。子どもたちには、これからもこの言葉を胸に進んでいってほしい」と話し、鴨志田さんは「今までにお世話になった小学校への感謝と、新しい郡戸地区の出発と発展への思いを込めた。閉校となっても、郡戸小の伝統と夢がつながっていったら」と期待を寄せる。

 茨城県内では、今月末で18の小学校が閉校。そのうち、常陸太田市では最も多い6校が閉校となる。

 3月18日に7人の卒業生を送り出した同校は金砂郷小(高柿町)、久米小(大里町)と統合され、校舎は「金砂郷小」(現在の久米小)に移る。

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