茨大広報学生プロジェクトが5月13日、iOPラボ「アフリカから見た世界~アフリカは本当に「暗黒の大陸」なのか~」を茨城大学水戸キャンパスで開催した。
iOP(internship Off-campus Program)とは、茨城大学が設ける原則的に必修科目を開講しない学部3年次の第3クオーター(9月下旬~11月)の期間で、夏季休業とあわせて長期インターンシップや海外研修、ボランティアなどの学外学修への参加を促す制度。同大学の「iOPラボ」では、iOPの期間を充実させるためのイベントなどを開いている。
この日は会場とオンラインで約40人が参加した。ゲストは、茨城大学人文社会科学部3年次休学中で現在ウガンダの図書館でボランティア活動をしている山口二千翔(にちか)さん。イベントでは山口さんがアフリカへ行くと決めたきっかけや、アフリカの歴史や貧しさと争いの原因、国際支援の現状について、終始明るくも真剣に語り、参加者の心をつかんだ。冒頭では山口さんがボランティア活動を行っている図書館や小学校の授業中の様子などを中継し、現地の人にインタビューをしながら現地の様子を紹介した。
山口さんは「アフリカは元々決して遅れた地方ではなく自然やほかの民族と協調しながら豊かな社会を築いていたが、豊かさゆえに搾取の対象となり、今も昔も西洋諸国に翻弄されている」と話した。「国際支援には良いイメージがあると思うが、援助依存になり自立する力を失わせることや、寄付によって現地の産業の壊滅を招くこともあるなど負の側面もある」とも。
ディスカッションでは「アフリカに本当に必要な支援とは何か」をテーマに、参加者同士で話し合いが行われた。参加者からは「物資ではなく、自立への支援が大切だと考える」、「先進国の押し付けではないアフリカに合った教育のシステムを模索していく必要がある」といった意見があった。
山口さんは今後のボランティアの展望について「読書の習慣を作っていきたい。今図書館にある本は白人の主人公の本ばかりなので、現地語を使った本を集めていきたい」と意気込む。「アフリカの人たちは、物がないなりに幸せに生きる手段を知っている。日本も経済成長以外の成長の形を探すなかで、アフリカの人たちから学ぶ姿勢を持ったら見方が広がると思う」とイベントを締めくくった。
イベントの参加者は「世界の問題や社会のシステムに疑問が残り、自分の将来を考える中で今回の講演がターニングポイントになると思う。支援のマイナス面が衝撃的だった。プラス面とマイナス面を考慮した上でこれからのアクションに移していきたい」と話す。
イベントを企画した、茨大学生広報学生プロジェクトメンバーで茨城大学人文社会科学部2年生の橋本彩さんは「みんなに面白い茨大生がいるということを紹介したいと企画した。これからも学内の面白い活動をしている学生を多くの人に紹介していきたい」と話す。