茨城県内6団体(地方公共団体3団体、民間事業者3社)は6月24日、産官連携による県内中核人材の育成を目的とした異業種交流研修「いばらき創生プロジェクト」の最終発表会を開いた。
プロジェクトに参加したのは小美玉市、土浦市、水戸市、日立製作所 関東支社 茨城支店、JR東日本水戸支社、NTT東日本茨城支店の6団体から公募で集まった20~30代の若手職員・社員18人。
「SDGsを意識した、県民幸福度ナンバーワンの『新しい茨城』づくり」をテーマにディスカッションを重ね、新たな戦略プランを自由な発想で立案、発表した。全てのプレゼンテーションが終了すると最優秀グループと各グループ内のMVP発表が行われた。最優秀グループは「グループB」に決まった。
グループBの「メタバース(仮想空間)を活用してボーダーレスな茨城県へ」は、「メタバースを活用した災害対策」「メタバース診療」を軸にプランを発表。茨城県内の防災組織カバー率を挙げ、「住んでいる場所や地域でボーダーがあり、地域間で知識や経験などの差が生じてしまう」と現状を分析。メタバースを活用した避難訓練(災害シミュレーション)、バーチャル上での知識や情報を身につけるための防災教育、団体間の活動の見える化・相互研鑽の場を提案した。「メタバース診療」では、茨城県内の医師数全国46位、看護職員数42位という実態を踏まえ、メタバース診療を行うことによる受診における地理的ボーダーの撤廃などを提示。育成に時間を要する医師と看護職員の増加までをつなぐ狙いだという。
グループB・土浦市コロナワクチン対策室主幹の大森翼さんは「申し込み時は民間とのつながりがない中で不安もあったが、メンバーに恵まれた。今後も付き合っていきたい。今回の機会により、改めて自治体と民間企業との違いを実感した」と振り返る。「今回の企画は質疑応答での指摘の通り、利用者への使いやすさやや開発コストといった課題もあるが、賛同する自治体などと広域連携の可能性もできるもの。メタバース診療など、人口減少を悪いものだけと捉えず、時代に合わせ適した形にすることができるのでは」と話す。
プレゼン発表には、島田幸三小美玉市長、高橋靖水戸市長、日立製作所関東支社茨城支店・岡田知巳支店長、JR東日本水戸支社・小川一路支社長、NTT東日本茨城支店・長野公秀支店長も駆けつけた。プロジェクトの取りまとめを行ったNTT東日本茨城支店の長野支店長は「この1カ月はスタートでしかない。それぞれ自治体・社外の物差しができたのでは。この縁をきっかけに、今後も関係性を続けてほしい」と呼びかけた。