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水戸で夏越祭と花火打ち上げ 台風19号被害から3年、「みんなで上げる花火」

花火大会のポスターを手に藤内神社前に立つ笹島さん

花火大会のポスターを手に藤内神社前に立つ笹島さん

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 藤井町花火大会実行委員会が7月31日、藤内神社の創建1300年を記念し、花火打ち上げを行う。

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 藤内神社は721(養老5)年創建。社伝によると、同社から西方5キロほどの地点にある朝房山(ちょうぼうさん)を祭神・経津主命(ふつぬしのかみ)の神山としている。昨年、創建1300年を迎えたが、祭事は新型コロナ感染拡大の影響で2年間中止しており、今年の「夏越祭(なこしさい)」は3年ぶりとなる。

 夏越祭当日は、藤内神社を会場に、祭事・夏越祭で、病難除けの「茅の輪(ちのわ)くぐり」を行うほか、子どもみこしなどを予定する。同日に開催する藤井町花火大会では、町内約半分となる世帯が浸水被害を受け、台風19号の影響で水没したエリアのど真ん中から、約300発の花火を打ち上げる。

 花火大会は、藤井町子ども会会長で、同実行委員長の笹島将樹さんが中心となり企画した。笹島さんによると、花火打ち上げ企画のきっかけは、藤井町で生まれ育った笹島さんの義父が受けたガンの告知だったという。笹島さんは「企画を突き動かしたのは、在宅医療で共に暮らす義父の思い出に残せることを何かできないかとの思いだった」と話す。「長引くコロナ禍で、藤井町も例に漏れず、町内会のイベントなどが激減した。人と人とのつながりが薄くなってしまった」とも。「義父だけでなく、町内のおじいさん、おばあさんから、子どものころにみこしを担いで町内を練り歩いた話や夏祭りの思い出を聞くことがあった。今の子どもたちが、いつか過去を振り返った時にある藤井町の思い出を残したいと今年5月、宮司に思いを打ち明けた」と笹島さん。宮司の後押しもあり、氏子、町民たちに企画を説明。今年5月、実行委員会が立ち上がった。「あなたに見せたい花火(なつ)がある」というキャッチコピーには「それぞれの思う『あなた』に思いを馳せてほしい」と思いを込める。

 花火打ち上げ資金への協力を呼びかけると、町内の全世帯が寄付に応じたという。花火の打ち上げのため、「自分も関わりたい」と小遣いから寄付金を申し出た小学生もいたという。「夏祭りや花火は『何かやらないと』という思いや、『台風被害から立ち上がるんだ』という前向きさ、『思い出をつくりたい』といったさまざまな思いが重なった」と笹島さん。「今回の花火大会は、地域のみんなで上げる花火」と話す。

 笹島さんは「祭りや花火を通して『藤井町』という地域に目を向けてもらい、人とのつながりが結び直されることを願っている。みんなの思いが記憶となれば」とほほ笑む。

 夏越祭は13時~18時。花火大会は19時30分打ち上げ開始を予定する。

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