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水戸芸術館で中崎透さんの個展 水戸と芸術館をモチーフに

水戸芸術館入り口にあるポスターの前に立つ中崎透さん

水戸芸術館入り口にあるポスターの前に立つ中崎透さん

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 水戸芸術館現代美術ギャラリー(水戸市五軒町)で11月5日から、水戸を拠点に活動する美術家・中崎透さんの個展「中崎透 フィクション・トラベラー」が開催される。(「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記)

中崎透「color or white」2007(撮影=柳場大)

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 中崎さんは茨城県出身。言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレをテーマに、「看板」をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、さまざまな手法で制作に取り組んでいる。

 同展では、水戸芸術館や水戸をモチーフとした新作など50の作品に加え、ドローイングも多数展示する。

 「フィクション・トラベラー」のタイトルは「芸術そのものが、虚構性やフィクションを前提に作られていて、今まだないものをイメージすることででき上がっていく。こういった虚実の間を行き来するような部分に興味があって名付けた」と中崎さん。

 制作には、水戸芸術館に開館当初から勤めている職員や中崎さんの両親など、水戸芸術館や水戸に縁のある男女5人にインタビューを行った。

 展覧会では、インタビュー中に引き出された言葉と、中崎さんのこれまでの作品を結びつけた同館と水戸市の「もう一つの物語」を展示する。「歴史のような『1つの本当』に対しての個人による受け取り方の違いや、記憶の不確かさなどにある人間らしさも『1つの本当』なのではないか」という考えをテーマにしたという。

 会期中、中崎さんの代表作である、看板をモチーフとしたシリーズ「看板屋なかざき」の公開制作も行う。注文を受け、中崎さんが自分の作品としてアレンジして、ねじれた看板を仕上げる。中崎さんは「看板屋なかざき」のテーマについて、「普通はクライアントの立場の方が強いはずの契約だが、もしクライアントと頼まれる側の立場が対等な契約を結んだら、思い通りにならず、ズレた看板が出来上がる。2人の人間が忖度(そんたく)なく対等に関わると、聞き間違いや勘違いが起きてもめてしまう。そのズレが、普通の人間の形なのかもしれない」と解説する。

 中崎さんは「地元の人でないと分からない部分を楽しむこともできるし、県外の人が水戸を知ることもできるので、いろいろな人に見てほしい。何回見ても違う見え方がする展示になっている。散歩に来るつもりで足を運んでもらえれば」と呼びかける。

 開館時間は10時~18時。入場料は一般900円。来年1月29日まで。

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