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水戸芸術館、「巨大バッタ」修復でCF 目標達成、引き続き支援者募る

「飛蝗(プロジェクト・インセクト・ワールド)」(提供=水戸芸術館現代美術センター 撮影=根本譲)

「飛蝗(プロジェクト・インセクト・ワールド)」(提供=水戸芸術館現代美術センター 撮影=根本譲)

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 水戸芸術館(水戸市五軒町)が現在、現代美術家の椿昇さんと美学者の故・室井尚さんによる巨大バッタをモチーフにした作品「飛蝗(プロジェクト・インセクト・ワールド)」の修復・公開に向け、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。

クラウドファンディングのチラシを手に支援を呼びかける竹久さん

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 全長50メートルに及ぶ同作品は「横浜トリエンナーレ2001」のために制作され、翌年に水戸芸術館でのプロジェクト「カフェ・イン・水戸」で展開した際の市民の反響を受け、同館に収蔵された。収蔵の経緯について、同館現代美術センター芸術監督の竹久侑さんは「展示するために大勢の人の協力が必要という作品の特性と、地域との連携を重視している当館の姿勢が相まって収蔵に至った」と振り返る。

 それ以降、水戸に限らず国内各地や海外でも展示してきたが、空気で膨らませる巨大作品であり、屋外という展示環境のため紫外線や風、土などにさらされる特性から劣化が進み、2014(平成26)年を最後に公開されていなかった。同プロジェクトでは同作品を再び展開し、未来に継承していくことを目的に、そのための修復に必要な資金を募っている。

 竹久さんは「誕生時と同じ状態に完全復元することが目的ではない」と話す。「この作品は、これまでの展示で負った傷や手縫いの修繕の跡が残ったまま収蔵されていて、それらはエピソードとして作品の一部になっている。そうした軌跡も含めて、修繕しながらできる限り長く公開して、次世代に継承していきたい」という。美術館の使命として、「収蔵した作品を次世代に継承していくこと。特に現代美術は価値が定まりきっていないことがあるが、それらが未来で評価されるためにつなぎ手が必要」とも。

 同館として初めてのクラウドファンディングとなった同プロジェクトは、最終日までおよそ3週間を残して10月8日に目標金額350万円を達成した。今後は支援者数200人を目指し、継続して協力を呼びかけ、その支援金はバッタの触角を立たせるための修繕費用や同館広場で作品を展開する際の経費に充てるという。

 「この作品は生まれながらにして多くの人の手を借りて世に送り出され、その後も大勢の人のおかげで何度も姿を現すことができた。そのバッタがまた再生するためには多くのサポートが必要」と竹久さん。「長い航海の船出に一緒に乗り込み、未来へのつなぎ手になってもらえれば」と引き続き支援を呼びかける。

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