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水戸で作家3組による笠間焼きオブジェ展 福祉施設利用者とのコラボ作品も

(右から)筒井店長、「縁・芸プロジェクト」高崎さん、作家の丸山さん、重本さん、Beatrix bear bear、丸山さん。手前左側が「縁・芸プロジェクト」による作品

(右から)筒井店長、「縁・芸プロジェクト」高崎さん、作家の丸山さん、重本さん、Beatrix bear bear、丸山さん。手前左側が「縁・芸プロジェクト」による作品

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 笠間焼き作品を扱う「泉町ギャラリー 窯(YOO)」(水戸市泉町)で現在、陶芸作品の展示会「3つの個性オブジェ展」が開かれている。

左が重本さん、右が丸山さんの展示作品

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 同ギャラリーは、社会福祉法人「光風会」(水戸市見川)が運営する「笠間焼工房 陽(yoo)」(笠間市赤坂)のサテライト施設で、プロの陶芸作家による作品の展示・販売を行っている。2020年から毎年、笠間にゆかりのある3組(2020年・2021年は4組)の作家によるオブジェ作品を展示しており、今年で4回目。

今回は、いずれも茨城県立笠間陶芸大学校(笠間市笠間)の卒業生である陶芸家、丸山純さん、重本千尋さん、Beatrix bear bearの3組によるオブジェ作品を展示している。店長の筒井まり子さんは「街の小さな美術館をイメージしている。普段は器などを主に扱っているが、芸術の秋のこの時季に気軽にアート作品に触れられる場所を作れればと思い企画した」と話す。

 同展示会での新たな取り組みとして、福祉施設とアーティストのマッチングを試みる「縁・芸プロジェクト」とのコラボ企画を、店内の一角で行う。福祉施設の利用者とアーティストが一緒に作品を制作する活動を進めている同プロジェクト。代表の高崎誠さんは「取り組みを通じて、施設が開放的な雰囲気になったり、これまでにない交流が生まれたりすれば」と活動の意図について語る。同展では高崎さんが勤める障がい者支援施設「あいの家」(茨城町小幡北山)の利用者と陶芸作家の丸山果鈴さんのコラボ作品を展示し、同プロジェクトとしても初めての機会となる。

 同校出身の丸山さんは、学生時代に知的障がいのある人が作る作品や思考回路に関心を持ったという。当時の教員からの紹介で高崎さんと出会った。「就労施設などに出入りする中で、売り上げがあるということが利用者本人にとってどういう意味があるのか、自分の中で落とし込めていなかった」と丸山さん。その時期に高崎さんからアート作品の制作に誘われたという。

今回は丸山さんとしても知的障がい者との制作は初めての機会で、「最初は利用者のことも分からないことが多かったが、徐々にそれぞれの強い個性が見えてきて楽しくなった。自分の立場は『支援』ではなく、皆さんと一緒にコラボ作品を作ったという感覚」と振り返る。展示するのは同施設の利用者8人による作品。丸山さんは「作品には一人一人の強い個性が表れていて、明るさがある。『障がい者の作品』という目線ではなく、作品自体の面白さや個性ある作者の思考に関心を持ってもらえたら」と話す。高崎さんも「今回の取り組みによって現場の支援員の雰囲気も良くなり、利用者の方にも半年間、丸山さんとの制作を楽しんでもらえていたと思う」と手応えを話す。筒井さんは「福祉施設の利用者とアート作品を作るという取り組みは大きなトライ。そのチャレンジの場所に選んでもらえてうれしい。フラッと作品を見にきてもらえれば」と呼びかける。

 営業時間は10時~17時(最終日は16時まで)。月曜・金曜定休。観覧無料。11月30日まで。

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