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水戸芸術館で今村源さん個展 「彫刻のイメージが変わる」作品展示

新作「モノになるコト」は会場の長い廊下を大きく使って展示する

新作「モノになるコト」は会場の長い廊下を大きく使って展示する

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 彫刻家・今村源さんによる展覧会「今村源 遅れるものの行方」が現在、水戸芸術館(水戸市五軒町)で開かれている。

作品について説明する今村さん(左)と井関さん(右)

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 今村さんは1957(昭和32)年大阪生まれで、現在は京都在住。京都市立芸術大学大学院を修了した後、関西を中心に活動している。素材としてボール紙や発泡スチロール、針金など軽い素材を用いた浮遊感のある彫刻作品が特徴。同館は「ユーモラスな造形でありつつも、その軽く透明感のあるイメージから一転、日常と表裏一体にある深遠な世界を見る人に想起させる」とコメントする。同展は今村さんにとって10年ぶり、関東以北の美術館では初めての個展となり、新作9点を含む55点の作品を展示する。

 同展を企画したのは同館学芸員の井関悠さん。学生時代に東京で美術ギャラリーのスタッフをしていた際、そこで今村さんの個展が開かれたことが出会いのきっかけ。当時を振り返り、「彫刻のイメージがひっくり返る作品に強く引かれた」と話す。今回、同館学芸員として「今村さんの作品をもっと多くの人に知ってほしい」という思いで企画したという。

 同展の特徴の一つとして、「鑑賞者の視点への意識」が挙げる。第1室には滑り台をモチーフにした「1997-7 スベリダイ」を展示。鑑賞者が実際に上ったり滑り降りたりして、他の作品の地上からは見えなかった部分を鑑賞できる。他にも同館エントランスの吹き抜けに展示している「きせい・キノコ」は、1階と2階から違った角度で鑑賞されることを想定して展示。展示の意図について、井関さんは「彫刻は地面に接している所以外全てが見える。視点を変えられるということは、それによって解釈が変わる可能性があるということでもある」と話す。

 もう一つの特徴は、「今村さんは目に見えない自然の力を可視化すること」と井関さん。新作「モノになるコト」など風の力だけで動く作品や、地下で菌糸を張り巡らし、時折地上に姿を現すキノコをモチーフにした作品が複数ある。今村さんは同展のタイトルに絡めて、「川の流れの中に何か障害物があって渦や流れがゆっくりになる所が生じるとき、そこに立ち現れる物質は何も『ない』とされたところに『ある』もので、そういった『遅れるもの』の豊かさや不思議さをテーマとした」と話す。井関さんは「今村さんの魅力は見る人の視点を変えてくれるところ。鑑賞を通して世界を見る視点が変わることもある。アートを日常と地続きにあるものとして楽しんでもらえれば」と来場を呼びかける。

 開館時間は10時~18時。入場料は、一般900円、高校生以下と70歳以上は無料。1月28日まで(1月9日は休館)。

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