米・スタインウェイ&サンズ社が1865年に製造した日本最古のグランドピアノの演奏体験が5月23・24日、水戸市の茨城県立歴史館(水戸市緑町、TEL029-225-4425)で行われた。小中学生を対象にいにしえのピアノの弾き心地と音色を楽しんでもらうもので、見学者らもその調べに酔いしれていた。
ピアノは1871年にハーパー夫人が購入、ニューヨークから横浜へと船便で渡ってきたことが、当時の記録から分かっている。アメリカでは南北戦争が終結、リンカーン大統領の暗殺や日本では長州戦争が行われていた時代の製造で、国内では宮内庁に残されているものよりも古いことが判明している。
1932(昭和7)年に現常総市水海道小学校が講堂の完成記念に、東京・三浦楽器店で中古として売りに出されていたものを1200円で購入。講堂の建設費が9900円だったことから、購入には反対の声も上がっていたという。しかし、同小教諭の片野治郎さんら市民の熱心な支援活動で買い取られ、同小の音楽教育に功績を残してきた。
同館は痛みの激しいこのピアノを、1990年から2年がかりで全面修復。同館で野外展示している旧水海道小学校本館の展示室に保存している。
この貴重なピアノを見てもらうだけでなく「聴く展示」「弾く展示」として、県民にも親しんでもらおうと、演奏体験を実施。ピアノに触れた子どもたちは「鍵盤は重かったけど、家のピアノとは全然違う」と、音色の美しさに驚いていた。
同館は10月・12月にもコンサートと演奏体験を開催する。