本と手紙と旅をテーマにしたコンセプトショップ「Lettre et Livre(レトル・エト・リブレ)」(水戸市袴塚)が茨城大学前にオープンして1カ月がたつ。
古書や雑貨、食器などを販売する同店。店名はフランス語で「手紙と本」を意味する。店主の米川朋宏さんは「日々の暮らしをちょっとだけ豊かにするアイテムを並べている」と話す。約300冊の古書はエッセーやアート、デザイン関連を中心に取りそろえ、店内のテーブルに平積みする。「来た人によって並びが変わり宝探しのように手に取れる本と、邪魔をしない音楽がこだわり」と米川さん。
「手紙や紙の本はこれから廃れていくというのが世間のスタンダードな考えだとして、だからこそ楽しみを見いだす人がいると思う」とも。「自分が好きなヨーロッパの風景の写真集もある。ここでの出合いをきっかけに旅に出るようなことがあればうれしい」と話す。
茨城県出身の米川さんの本業はデザイナー。大学を卒業後、不動産・金融・デザイン会社を経て2021年に独立し、デザイン事務所「Piece of cake(ピースオブケイク)」(水戸市笠原町)を設立した。米川さんは「銀行員時代に家具店『加藤木工』(城里町粟)に出合い、同世代の職人たちと関わったことがきっかけ。好きなことをやって生きていくことへの憧れや自分たちでゼロからものを作っていく面白さを知った」と話す。
本業の傍ら同店をオープンした米川さんは「若いころから古家具屋や雑貨屋には憧れがあった。年を重ねてきた中で、これからの世代との関わりを作っていきたいと考えた」と話す。茨城大学から徒歩圏内の同店にはオープン初日から学生の出入りがある。「学生がこういった場に出入りすることで何が起きるか見てみたい。たとえば、本を一冊手に取って読んだら『こんな生き方があるんだ』と気付いて、人生が変わるかもしれない。きっかけが生まれる場になれば」と期待を寄せる。「学生の中には、『周りはそうでも私はこれが好き』と世間の流れにあらがいたい人もいると思う。そういう人とこの場がマッチすれば」とも。
「好奇心のある人が来てくれるとうれしい。気軽に話しに来るだけでもいい。オンラインが主流になりつつある世の中で、小さなお店に足を運ぶ楽しさを感じてもらえたら」と来店を呼びかける。
営業時間は公式インスタグラムで告知する。