公開ディスカッション「『アートセンターをひらく』をひらく。―水戸芸術館の試みに対する市民からのレスポンスとして―」が8月4日、茨城大学水戸キャンパス図書館1階ラーニングコモンズ(水戸市文京)で開かれる。
同企画は、茨城大学職員の山崎一希さんと「恵藍舎」の佐々木恵美子さんが主催として企画。水戸芸術館のファンであるという共通点もあり、香港文学の専門家で茨城大学教授の西野由希子さんも協力している。
水戸芸術館では、企画展「アートセンターをひらく」を第1期(3月2日~5月6日)と第2期(10月26日~2020年1月26日)に分けて開催。第1期では「創作と対話」をテーマに「招へいアーティストによる滞在制作」「パフォーマンスや映画、座談会といった多彩なパブリック・プログラム」「オープンカフェを軸とした入場無料」(一部プログラムは有料)を実施。第2期は、第1期の成果発表を行う予定。
山崎さんは「教育普及を目的とした一部プログラムではなく、メインの企画展全体をこうしたコンセプトにする試みは水戸芸術館にとってはもちろん、恐らく日本の他の公立ミュージアムにとっても初めてのこと。長年、水戸芸術館をウオッチしてきた私たちから見ても、今回の『アートセンターをひらく』はとても野心的な企画だと思った」と話す。「同館の現代美術センターは、商店街で展示を展開した『カフェ・イン・水戸』や『高校生ウィーク』などの教育普及プログラムを通して、アートセンターを『ひらく』実践を繊細に重ねてきたと思っている」とも。
当日は、「アートセンターをひらく」企画担当者で同館主任学芸員の竹久侑さんを招き、同企画展の報告を聞き、企画者の山崎さんらからいくつかの視点を示し、市民と同館職員が同じ場で自由に議論をする場を目指す。
山崎さんは「私たちは水戸芸術館が慎重にひらいてきた場でアートや多様な人たちとの交流に親しみ、水戸への愛情も深めてきた。私自身、県外で過ごした時期があったが、こうして水戸に帰ってきたのは、水戸芸術館での経験やそこで出会った人たちの存在がとても大きく影響している」と振り返る。
「私たちの企画では、同企画展の思い出話に浸るファンミーティングではなく、「本当に『ひらいた』といえるのか」「『ひらく』とは理想的にどういうものか」といった、ある意味で批判的な視点も大事にして対話ができれば。水戸芸術館の外でこの企画を行うというスタンスにボランタリーに協力をしてくださる竹久さんたちには本当に感謝している」と話す。
「今回の企画を通じて、私たち市民の税金で支える、地域のインフラとしてのアートセンターがどういうものであるべきか、ということについて、住民の言葉で考え、語り、シェアしていければ。同時に、今後も継続していくことで、公立の施設と市民との間の対話の場がいろいろな場で起こるような、新しいパブリックな水戸をつくる一助になれば」とも。
「当日は『水戸黄門まつり』も開催されているが、私たちの企画にも足を運んでいただいて、気軽に一緒に話ができれば」と来場を呼び掛ける。
開催時間は13時30分~15時30分。参加無料。定員20人程度。