新型コロナウイルスの影響で3月から臨時休業中だった水戸のミュージック&スポーツバー「Pivote(ピボーテ)」(水戸市元吉田町、TEL 029-306-7330)が5月23日で閉店すると発表。クラウドファンディングで撤去費用の支援を呼び掛けている。
オーナーの富樫亮太さんは、水戸市出身。国内外での音楽活動やブレークダンスグループ活動の中、ロサンゼルスでパブリックビューイングに出合い「いつか日本でやれたら」という思いがあったという。水戸市内のクラブで9年間、責任者などを務め、2010(平成22)年5月に、クラブの原点である「みんなで楽しむ場所」として同店をオープン。サッカーワールドカップのパブリックビューイングやDJイベント、ライブ、eスポーツやボードゲームイベントなど幅広く展開してきた。
店名は、サッカー好きだったことから、スペイン語で「ボランチ」を意味する「ピボーテ」に決めた。「ボランチは、攻守の展開を決めるポジション。客とアーティストの間で、これまでの経験を生かしながら世代を超えて新たな楽しみのきっかけになればと運営してきた」と富樫さん。
新型コロナの影響で同店では3月下旬から臨時休業。不動産会社との交渉や経営継続を視野にいれた融資等も検討したが、先の見えない娯楽施設の状況を考え閉店を決意したという。4月1日には富樫さんのツイッターで「この度、Pivoteは5月末にて閉店する事になりました。”Pivote will be closing”。10年間ご愛顧ありがとうございました。”Thank you from the bottom of my heart”」(以上、原文ママ)との発信。
SNS上では「閉店する水戸Pivote、終わらせるためのクラファンなのが悲しい。」「心身共にまいっていた水戸時代。憩いの場所の一つでした。ありがとうございました!!」など、悔しさや寂しさ、感謝の意を表す投稿が相次いだ。シンガー・ソングライターのTatsuyaさんは「ほんとは今月出演予定だったPivoteでのラストライブ。10年間 たくさんの思い出が詰まったホームでの最後のステージ。もう一度ここで歌いたいよ」(以上、原文ママ)と同店の写真付きでコメント。SNS上では、ゆかりのあるアーティストからの動画も寄せられる。店舗のバーカウンターには最後のスタッフミーティングで手渡されたスタッフからの似顔絵付きメッセージが飾られている。
富樫さんは「休業から3カ月、収入がない状態。自粛が続き、4月末からの週末に企画していた閉店までのイベントもできなくなってしまった。自分の身勝手で閉店とイベントの中止を決めてしまい、閉店までにコロナの状況下でDJ、ダンサー、ライブ勢がどんな音楽を通してどんな思いを伝えるのか、来場者がどんな思いを受け取るのか、スタッフがどんな笑顔を見せるのかも見届けることができない。みんなが楽しむ場所を提供するピボーテとして最後まで転がり続けたかった」と話す一方で、「閉店とはなるが、今後も別の仕事を続けながら新たな道を模索していく」と意気込む。
同店では、5月1日、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でプロジェクトを立ち上げ、3カ月分の固定費用と設備の撤去費用の支援を呼び掛け。アーティストのHiroyuki Arawkawaさん、RazorbAckのK-EYEさん、Weckさん、シンガー・ソングライターのTatsuyaさんが応援コメントを寄せている。
リターン品は、5,000円=オリジナルステッカー、1万円=Pivote閉店記念Tシャツ ”Pivote Immortalized(ピボーテは不滅)、1万5,000円=ステッカーとTシャツ、3万円=ステッカーとTシャツ、シングルチェア2脚など。目標金額150万円。締め切りは7月1日。