水戸芸能士協会が6月23日、高橋靖水戸市長を表敬訪問し、舞方による歌や踊り、三味線を含めた伝統芸能の保存・伝承に向けた「水戸のお座敷文化を守ろうクラウドファンディングプロジェクト」で寄付を募ると報告した。
同会は、水戸の伝統芸の継承を目的に2010(平成22)年に発足。水戸芸能士・舞方として8人が登録し、地域のイベントや個人の祝い事、座敷で舞方としての活動や研修を行っている。
新型コロナウイルスの影響は、3月以降深刻化。イベントや宴席の中止が相次いだ。5月の宴席はなく、集団での稽古が難しいことから、個別で稽古を続けているという。舞方の保子さんは「稽古もなければ、伝統芸能を伝承していきたくても、技術も落ちてしまう。お座敷の話があってもマスクの着用などの課題もある」と話す。
同プロジェクトは、5月下旬から準備を進め、水戸に残るお座敷文化を守り継ぐための支援として立ち上げ。6月25日~8月31日までの約2カ月間、目標金額300万円を掲げ、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で支援を募る。
リターン品は4タイプを用意した。「My舞チケット」では、支援金額に応じて舞を踊る「立方」と「三味線」を市内の料亭などに招き、踊りやお座敷遊びが体験できる。オンライン会議システム「Zoom」を使って舞方の踊りやお座敷遊びを楽しめるプランや、お座敷券なしで舞方衆の写真と支援者の名前を入れた千社札、地酒セットや常陸牛セットなどが1つになったプランなども用意する。
高橋靖市長は「お座敷文化は観光インフラ。潰すわけにはいかない」と話す。舞方後援会の加藤高蔵会長は「舞方衆は、このコロナの中でも精進し続けていて、次の再会の際には立派な芸を披露できるのではないか。茨城には水戸にしかこのお座敷文化が残っていない中で、彼女たちは伝統芸能を守りたいという思いと責任感を持っている。後援会としても応援していきたい」とエールを送る。
保子さんは「クラウドファンディングは、後援会事務局長の中川純一さんから提案を受けた。これまでクラウドファンディングの経験はなかったが、まずはやってみようと決めた。プロジェクトが『こういうことをやっているんだ』と伝統芸能を知ってもらうきっかけになれば。お座敷文化という古いものを、新しい形で発信していけたら」と意気込む。
同協会では6月29日、舞方衆の技術向上も兼ねた体験企画「おーい!奴さんだよの会」を開催する。合いの手を入れたり、一緒に踊ったり、楽しみながら伝統芸能に触れることができるという。参加費は1万5,000円。問い合わせは舞方後援会事務局(TEL 029-227-1819)まで。