大洗の老舗漬物製造販売会社「吉田屋」(大洗町磯浜町)が6月22日、創業190周年に合わせて「190周年記念ギフト」の販売を始めた。
同社は、初代・大山浅吉が天保元年に創業。「吉田屋浅吉商店」の屋号で梅干し、奈良漬、ラッキョウやショウガなどの漬物製造販売業として営業を始めた。代々、漬物一筋に商売を続け、1954(昭和29)年、5代目・大山浅吉が株式会社を設立。現在は8代目社長の大山壮郎さんが中心となり、伝統の味に新しい技法を取り入れた商品開発や梅専門カフェ「ume cafe WAON」を展開している。
壮郎さんは、これまで続いてきた秘けつを同社の社訓とする都々逸坊扇歌(どどいつぼうせんか)の歌「たんと売れても売れない日でも同じ機嫌の風車」の心持ちだと話す。「うちは近所に漬物を売り歩くような営業形態から始まっている。古くから伝わる『梅』という健康食品を扱っているのだということを意識しながら、日々商いを続けている」とも。
梅干し11種と漬物6種、壮郎さんがJA土浦「千代田梅部会」と開発した100%茨城県産の梅を使った「常陸乃梅」シリーズ10種をそろえる吉田屋。1975(昭和50)年からの目玉商品である「三年梅」シリーズ、「常陸乃梅」シリーズのほか、今年3月には、サクマ製菓(東京都目黒区)と共同開発した「梅ドロップス」も販売。梅味菓子の需要の高まりに着目し、時代に合わせた味のバリエーションやアレンジを施す。
土産物として注力していこうという中で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により各種イベントや催事が中止となり、3~6月の売り上げは前年度比50%まで落ち込んだ。「うちの売り上げの8割はお土産品。通販など一部伸びた部分もあるがそれでも経営は厳しい状況」と壮郎さん。
「小さい頃から自分が吉田屋の跡を継ぐんだろうと思っていて、190周年という実感はあまりない。梅干しは、食卓にあるものとして、後世に残していきたい食材。8代目として、200周年に向けて続けていくという使命を感じている」と力を込める。
創業190周年に合わせて販売する「190周年記念ギフト」は、売れ筋の梅干し6種類が入った「梅干詰合『和』」、常陸乃梅梅シロップのラインアップを詰め合わせた「梅シロップ詰合『奏』」、国産と茨城県産素材の「漬物詰合『詩』」(以上、3,456円)、梅干しと常陸乃梅シロップシリーズが入った「厳選梅詰合『梅香』」(5,400円)の4種類を用意する。
今後は、土産物のパッケージのリニューアルや生産効率を上げる仕組み作り、社内のIT化を進めていく方針という。