常磐大学高校・吹奏楽部が現在、来年3月に開催予定の「スプリングコンサート」に向けた新企画を始めている。企画・制作は、水戸市を拠点にマーチング関連のイベント制作・企画・マーチング指導などを手掛けるMCMプロフェッショナル。
同校の部員は21人。新型コロナウイルス感染症の影響により、例年出場していた吹奏楽コンクールやマーチングコンテスト、演奏会などが中止となった。緊急事態宣言による休校期間中も、オンライン合唱やオンライン合奏の動画制作、水戸市の夏の風物詩「水戸黄門まつり」初の取り組み「Remote水戸黄門まつり」へのエントリーなど、積極的に音楽に触れる機会を設けてきた。
顧問の首藤美香教諭によると、7月にMCMプロフェッショナルの皆川寛樹さんの協力の下、劇団四季出身で水戸芸術館演劇部門担当の高城信江さんと話し合い、外部講師としてミュージカルの脚本制作や基礎レッスンを依頼。来年3月のスプリングコンサートに向け、ミュージカル仕立てのコンサートを目指す。
首藤教諭は「3年生にとって、大きなイベントがなくなってしまった。ミュージカル要素を取り入れた新しい取り組みで3年生の熱い思いをくみ取りながら、本校オリジナルの作品にできれば」と話す。
8月9日には、高城さんの指導の下、声帯についての学びや歌唱時の課題に向き合い、音楽での表現方法や基礎運動、発声のレッスンを行った。高城さんは「生徒達が新たな目標を持ち、少しでも勇気づけることができればと引き受けた。人は喜びで生きていい。音楽は喜びを感じられるもの。彼らがこの取り組みを通して、幸せだったと振り返ることができたら」と話す。「生徒には、全部自分で選択できるのだと気づいてほしい。先生の言うことはヒントで、そこから何を選んでいくかは自分。そういうことを、このレッスンを通して知ってもらえたら」とほほ笑む。
同部では、公演までの期間、高城さんのレッスンを受けながらミュージカル脚本、演出から実際の演技やミュージカル音楽演奏に挑戦する。1年間の部員それぞれの物語をミュージカルに落とし込み、インタビュー動画も交え、実際の場での演奏を合わせた作品に仕上げるという。
首藤教諭は「毎年学校行事で劇団四季の公演を見に行っているので、こうして劇団四季出身の高城さんに講師をしていただけて感激。実際に体を動かしながら、基礎を教えていただけるのはありがたい」と感謝を口にする。「他校に比べるとうちの部員数は少ないが、どんなに人数が少なくても人を感動させることができるんだと知ってほしい。高校時代、どう過ごすかが社会に出てからの人生にも関わってくる。何かに一生懸命ぶつかって、達成感を感じることができれば」と笑顔を見せる。
高3でホルン担当の部長・後藤碧太(みひろ)さんは「休校期間は家で楽器練習をしていた。今回、改めて根本から教えていただけて部全体にいい刺激になっている。今年は、大会などの機会がなくなって正直不完全燃焼だが、新たな取り組みに向けて期待に応え、できる一回一回を大切にしていきたい」と意気込む。